『いつも異国の空の下』感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

『いつも異国の空の下』感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ 未分類

『いつも異国の空の下』とは?

『いつも異国の空の下』とは1952年に活躍した日本人シャンソン歌手である石井好子が執筆したエッセイです。2012年に河出書房より文庫本として出版されました。

どんな内容?あらすじは?

『いつも異国の空の下』は、シャンソン歌手の石井好子が、アメリカ・サンフランシスコを皮切りに、フランス・パリやスペイン、ドイツ、ベルギー、キューバといった各地で歌手としてビジネストリップをしていた内容が綴られています。

女一人の旅立ち

憧れのパリへ

幸運なデビュー

心にふれる国スペイン

ドイツでの成功と失敗

成生リストでの一年

4年半ぶりの帰国と悲哀

フランスからスイスへ

パリの涙

キューバの憂鬱

ニューヨークの日記

ニューヨークの芸能界

パリを去る

フランスの友達

あとがき

15章で構成されています。

『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』や『ぐうたら上等』のようなエッセイとして読み心地のある内容です。

ネタバレ

石井好子というとシャンソン歌手として人気を博し、また出自も裕福な家庭でそだったバリバリのお嬢様のような印象を持つが、

本書を読んで、それは幻想だと気がついた。

石井好子は、若かりし頃に結婚するが、相手はお酒を飲むと奔放になるタイプで、離婚へ。

その後、独身女として、当時はバツイチが珍しい時代に、一人でお金を稼いでいきていこうと心に強く決める。

クラシックからシャンソンへ

東京音楽学校を経ており、クラシック音楽に精通していた、石井好子。

しかし、クラシック音楽では食べていけず、アメリカ軍隊向けの楽団の一人としてジャズを歌うことで日銭を稼いでいた。

石井好子はジャズやシャンソンをやりたかったわけでなく、しかも歌い手として経験値が高いわけでもスキルがあったわけでもなかった。

ただ、楽団で女性の歌い手が入ればOKという、いわばお飾り的な役目を担っていた。

日本からアメリカ・サンフランシスコへ

いつしか石井好子は、「このままではいけない」という想いが高鳴り、本格的なシャンソンや歌を学ぶために、サンフランシスコへ留学することに。

その時の費用は、政治家だった父親の石井光太郎が山中湖の別荘を売却しお金を工面した。

しかし、けして裕福ではなく、父親も小さな4畳に住むほど経済的には困窮していたのだった。

なけなしのお金を持ち、アメリカ、サンフランシスコへ船で渡る。

現地では寄宿舎に住みながら、必死で学び、ときには先生に付き、歌の仕事やコンテストに出場するなどして、なんとか生きていたのだった。

まさに修行の一時。

サンフランシスコからパリへ

1年経ち、日本へ帰国するまえに、パリへ訪れた石井好子は、そこで偶然にも自分が歌いたかった「パスドック」と出会い、弟子になりたいと懇願。するとパスドックは石井好子の歌を聞き、「明日からショーで歌いなさい」と仕事をくれることとなった。

日本人の歌手という物珍しさと、石井好子がサンフランシスコで修行をし実力を身に着けていたからだろう。

ここから本格的に歌い手として人生が始まる。

まとめ

シャンソン歌手として名を馳せた石井好子がいかにして昇りつめたのか、旅の余情と併せて、随筆としてが秀逸でした。

読みやすいし、当時の風情を思い浮かべながら読み耽る。

イメージトリップしたい方におすすめの一冊です。

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