『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ イベント

『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』とは?

『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』とは、東京のSOMPO美術館で開催された、旅情詩人であり版画画家の川瀬巴水の作品を展示した作品展。筆者は2022年1月7日から2月20日まで大分県大分市美術館で行われている美術展に行ってきました。

「川瀬巴水」展 予告動画

どんな内容?あらすじは?

『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』は、明治16年から昭和32年まで活躍していた日本の画家で、主に版画の作品を作っていました。

本展覧会では、そんな川瀬巴水のデビュー時から、円熟期までの300点近くの絵画が展示されています。

小村雪岱や和田誠、横尾忠則展のようなアートイベントです。

ネタバレ

『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』は、川瀬巴水が駆け出しの初期「塩原三部作」、「旅みやげ第一集」、話題となった「東京十二題」、「東京十二ヶ月」、三菱から依頼された「三菱深川別邸の図」、「旅みやげ第二集」、

第2章は、関東大震災を受け、その後に旅へ出た「旅みやげ第三集」、「東京十二景」、「東海道風景選集」、「日本風景集 東日本編」、「日本風景集Ⅱ関西編」、「新東京100景」、「元箱根見南山荘風景集」、

第3章は、円熟期で海外へ渡航し、またアメリカでも評判の良かった「朝鮮八景」、「続朝鮮風景」「The Japan Trande Monthly」「1953(昭和28)年カレンダー」、「後期作品『Later Works』」、「スティーブ・ジョブスと巴水(Steve Jobs and Hasui)」、

また大分の地域限定作品である「別府の朝」、「豊後柿瀨」、「別府の朝」、「別府の夕」といった作品が目白押しでした。

さらに、版画の元となる写生や出来上がるまでの制作過程の映像動画まで幅広い展示作が観られる内容です。

川瀬巴水とは?

そもそも川瀬巴水とは何者でしょう。

本名は、川瀬文治郎。実家は糸屋兼糸組物でしたが、画家の夢を諦めきれず25歳の時に鏑木清方の弟子になりました。

しばらくは洋画制作をしていたのですが、ある時に版画と出会い、その作品づくりに魅了されていったのです。

大正9年の初期の作品である「旅みやげ第一集」を作り、その時期に版画店の渡辺版画店を営んでいた渡辺庄三郎と出会い、タッグを組んで作品制作から販売まで行っていたのが、無名の新人だった川瀬巴水物語の始まりでした。

作品の内容は?

川瀬巴水は、上記で挙げた小村雪岱に似た作風でありながら、小村雪岱は線の細さから来る幽玄さに対し、川瀬は陰影の中に強い光を放つ青々しさが、生命の力強さを感じさせる作品となっていたのが特徴です。

特に三菱財閥から依頼を受けた後は一般知名度も高まり、渡辺庄三郎のアドバイスに則り「当時、色数を増やす作品が購買層の好み」に合わせたところ、世間一般でグッと購入者が増えたそう。

さらに、後年は、アメリカの雑誌「The Japan Monthly」の表紙になるなど人気をグローバルに人気が深まりました。

個人的には、この表紙となった「サンタクロースと雪庭」が面白く、普段買わないポストカードを購入するほどまで。だって、日本風景の雪庭にサンタクロースが一人佇んでいるんですよ?オシャレでした。

版画の作り方

『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

川瀬巴水が作っていた版画の制作過程も動画コーナーで紹介されていました。

川瀬巴水は、まず旅に出かけたり、東京を散歩していく過程で気に入ったスポットがあれば写生を行います。いわゆる模写やデッサンですね。

ちなみに、ある風景を観た川瀬巴水は雨の中傘もささずに写生を始め、渡辺庄三郎が黙って傘をさしあげるエピソードが、二人の友情関係が垣間見えて素敵なエピソードでした。

その後、写生を元に下絵を作ります。版画するサイズに下絵を行うのですが、この時点で一般的な画家の絵画と遜色ない作品です。

その後、版下絵といって、下絵を版画に写します。さらに、主版摺り、木版合摺り、木色木版合摺り、最後に摺りを行うと7段階ものステップを踏むわけですからその労力は半端ありません。

さらに、刷った後も、渡辺庄三郎とどの摺りが良いかと議論になることもしばしば。

作品に対する熱量は並々ならぬのものでした。

まとめ

大正から昭和にかけた活躍した版画画家の川瀬巴水の作品展。想像以上に作品点数の多さと、初期から中期、後期にかけての作品の違いが見れて、とても満足しました。

さらに、大分ならではの作品もあって、旅行や温泉好きの方は特に足を運んでもらいたいおすすめの展覧会です。

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