新宿小田急百貨店で開催の「ミュシャ展」とは?
「ミュアール・ヌーヴォーの華 アルフォンス・ミュシャ展 ~ミュシャとアール・ヌーヴォーの巨匠たち~」は、2021年12月26日から2022年1月10日まで新宿小田急百貨店で開催されていました。
今回筆者は、期間中に足を運んだのでご紹介します。
また、2017年に東京の国立新美術館で開催された「国立新美術館開館10周年 チェコ文化年事業ミュシャ展」と違いも説明しますね。
ミュシャとは?
ミュシャとは、1860年にチェコで生まれた画家であり、現代でいうグラフィックアートデザイナーです。
本名はアルフォンス・マリア・ミュシャ(Alfons Maria Mucha)。名前と絵柄のイメージで女性を想像する方もいますが、男性です。
多種多様な作品を手掛けたミュシャですが、その中でも後年、故郷のチェコに戻ってから作成した『スラブ叙事詩』が代表作として有名です。
2017年に東京の国立新美術館で開催された「国立新美術館開館10周年 チェコ文化年事業ミュシャ展」では、6 ×8メートルもの巨大な作品である『スラブ叙事詩』が国外初の展示ということで大きな話題となりました。
筆者も行きましたが、床付近から天井近くまで広がった大きな絵に感動と衝撃を受けました。作風は異なりますが岡本太郎の『明日への神話』を観たときのような。
横尾忠則展や、森村泰昌展、和田誠展へ行ったときと同じような感覚になりましたね。
新宿小田急百貨店では?どう違うの?
今回開催された新宿小田急百貨店の「ミュシャ展」は、2017年に開催された国立新美術館と異なり、あくまでもデパートのイベントスペースで開催されました。
そのため、照明や導線、鑑賞者と作品の距離感、スタッフ、学芸員の対応などが、デパートスタッフと美術館のスタッフの対応とは異なりました。
しかし、作品点数は500展以上。また関連作家の作品も掲載されており、見ごたえのある企画展です。
どんな内容?ネタバレ
アルフォンス・ミュシャは、もともとフランス・パリへ留学へ来ていたのですが、奨学金がストップし、仕方なく広告や雑誌などの作品を手掛けることでお金を稼いでいたのです。
その後、女優サラ・ベルナールの舞台ポスターを手掛けたことから、契約が始まり、ネームバリューや知名度も向上していくのでした。
しかし、故郷チェコへの想いは募るばかり。
経済格差のある華の都パリと、内乱が続くチェコでは経済的な差もあり、絵を描く仕事を続けるために、一時的にアメリカへ出稼ぎに行き、がっつりお金を貯めてから満を持してチェコへ帰郷していったのです。
作風の違い
そのため、パリでの作品は、現代風でいう少女コミックやアニメのような可愛いイラストが多いのが特徴。
しかし、チェコでの『スラブ叙事詩』からは、歴史や国政の辛さを訴えかけるような人々の強い眼差しが印象的な作品へと変化するのです。
まるで、アルフォンス・ミュシャの中に燻っていた何かが、チェコに戻ったことで覚醒されたような。
そのため、本展覧会もそうですが、前半のキャッチャーなイラストの印象で進んでいくと、強烈なパンチをくらうため注意してください。
パブロ・ピカソも同じですね。前半の青の時代から薔薇色の時代、新古典主義、そして後期へと変化する作風と似ています。
まとめ
本イベントでは、会場を出たあとにグッズコーナーと実売コーナーがあり、コレクションしているオーナーさんと話したり、直接買い付けが可能となっていました。
安いもので5万円程度、高いと20万や30万円がありましたが、魅力的なミュシャの作品をお家に飾れるチャンス!
また、次の機会があれば覗いてみてください。ミュシャ好きにおすすめの展覧会でした。