『フラグメント化する世界 ーGAFAの先へー』とは?
日経BP社発行の鈴木裕人、三ツ谷翔太氏著作の『フラグメント化する世界 ーGAFAの先へー』を読みました。
まず、GAFAをご存知ですか?Google、apple、Facebook、そしてamazonを指します。
21世紀になり、また元号も平成から令和へと変わり、ユーザの利用するコンテンツやプロダクトが変化しています。
少し話が変わりますが、現代の3大家電を知っていますか?昭和初期では、テレビ(白黒)、洗濯機、そして冷蔵庫が3種の神器と呼ばれ、その3つがある家庭は、裕福で充実した家であることを指し示していました。
それから時代は進化し、カラーテレビ、車、そしてエアコンが新三種の神器となり、より快適な生活を迎えるために必要な家電となりました。エアコンが入る前はどの家も扇風機や団扇で冷をとっていましたからね。
そして、さらに進化し、デジタルカメラや薄型テレビ、DVDプレイヤーなどがラインナップに加わりました。
では、問題です。2019年の現代での三種の神器はなんだと思いますか?
正解は、ルンバ(自動掃除機)、ドラム缶式洗濯機(乾燥機能付き)、そしてスマートフォンです。
どれも、より生活を快適に過ごすための必需品であり、さらに、自分がいなくても活動してくれるということで、忙しい現代社会では、いかにして、時間を作ってくれる、節約できるアイテム・家電が人気なのです。
さらに、今後は、洗濯機は畳む機能まで、冷蔵庫は足りないものをお知らせしてくれたり、宅配注文を自動でしてくれる、またエアコンは出先から帰る前にオンになるなど、近い将来訪れる未来が近づいています。
そうです。
そういった進化したデジタルな社会で欠かせないのが、「Google(検索)」「apple(iPhoneなどハードウェア)」「Facebook(SNSとして他者とのつながり)」「Amazon(ネットショッピング、EC買い物)」が不可欠となっているのです。
フラグメント化とは?
本書『フラグメント化する世界 ーGAFAの先へー』に話を戻すと、フラグメント化に近いのがブランド化です。そのブランド製品を買えば品質がしっかりしている、アフターフォローがしっかりしている、価値が落ちない、誰もが知っているので、持っているだけでその人の価値を向上してくれる。など、ブランドを築くというのは、ある種での伝統です。
同じように、Googleを使えば、知りたい情報をちゃんと見つけられる。iPhoneを持てば品質がしっかりしているので、安定して使うことができる、Facebookを利用すれば友達や知り合いと正確に繋がれる、アマゾンを利用すれば豊富な商品が安定して届く、といった安心感があります。(個別のミクロで見ればもちろん問題やトラブルはありますが)
例えば、CHANEL(シャネル)やGUCCI(グッチ)などの製品はブランド性は高いですが必ずしも必須ではありません。しかし上記フラグメント化したものは、代替がしづらいという側面があります。すでに帝国として築き上げられた結果として、ユーザは今後もよほどのことがない限り使い続けるでしょう。
フラグメント化する世界で勝ち残る企業・産業
本書の6章では、今後増えていくフラグメント化する世界で勝ち残ろう企業や産業を紹介しています。例えばソニーは、「コミットメント経営」の視点を持ち、利益目標を出さずに「人に近づく」という独自の方向性を経営方針として打ち出しました。
さらに、テレビやオーディオ機器などハード事業は残しつつ、ゲームや映画、金融事業といったデジタル系のサービス事業へもいち早くポートフォリオの重心を移したのです。これがずっとハード事業にこだわり、半導体をメインに進めていたら時代に取り残されていたことでしょう。
この「土俵をずらす」という言葉をソニーの吉田憲一郎社長が使ったことが有名です。
本書『フラグメント化する世界 ーGAFAの先へー』では、ソニーを始め、トヨタ、ホンダ、東芝、日立など過去から現在、そして未来に向けて、事例を踏まえて、今後の形が綴られています。
まとめ:結局この本は何んだろうか?
目的もなく読むと、情報とデータの森に迷い込み、結局自分の中で何を吸収するべきか悩んでしまう一冊です。それぞれの企業のデータや分析力はとても重厚で一つの論文誌を読んでいるかのような読み応えがあります。
しかし、ちゃんと目的(勤めている会社で新規プロジェクトを立ち上げる、自分で起業する、世に出たプロダクトが成功し、今後どう進めていくか考えている)などがあると、とても頼りになるでしょう。
あとがきで、「骨太のシナリオ」に近い、と。
シナリオを活かすも殺すも、読み手のあなた次第。もちろんいつか役立つ日が来るから、先に目を通しておくということでも良いと思います。
新しい時代は、ついそこまで来ているのだから。
これも新しい世界のひとつかも?