『パリに見出されたピアニスト(Au bout des doigts)』映画の感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

『パリに見出されたピアニスト(Au bout des doigts)』映画の感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ フランス

『パリに見出されたピアニスト(Au bout des doigts)』とは?

『パリに見出されたピアニスト(Au bout des doigts)』とは、パリの国立高等音楽院を舞台に、貧困層の若者が著名な音楽ディレクターに見出されプロの演奏家へと成長していくシンデレラボーイストーリーです。主演を演じた若手俳優ジュール・ベンシェトリ(Jules Benchetrit)は、第44回セザール賞で有望賞の候補に上がりました。

どんな内容?あらすじは?

『パリに見出されたピアニスト(Au bout des doigts)』は、パリ国立高等音楽院で音楽ディレクターを務めるピエールが偶然パリの北駅でピアノを弾いている若者に才能を発見し、彼をスカウトする所から始まります。犯罪を犯し刑務所に入れられる寸前の彼を救い学校での奉仕活動をする傍ら、ピアノの練習をさせ、音楽家としての才能を開花させていくのです。

『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード(Interlude in Prague)』や『しあわせの隠れ場所(The Blind Side)』のような映画となっています。

ネタバレ

もともと、同じ団地に住んでいるおじさんからピアノを教わった主人公のマチュー。けれど、シングルマザーの母親のもとでは、ピアノのレッスンはおろか、家で弾くこともままならない生活。いつしか生活のために犯罪に加担していく……。

そんな中、音楽ディレクターのピエールに救われ、少しずつピアノを学ぶことで、喜びと難しさを感じながら音楽コンクールに向けて練習を育んでいきます。

女伯爵と異名を持つ厳しい女性教師からは当初「才能はあるわ。だけど努力しない天才なんていない」と絶望的な評価を受けていたのに、少しずつ練習への熱意を持ち始め、彼女との心の交流も始まるのでした。

この、クリスティン・スコット・トーマス(Dame Kristin Scott Thomas)が演じる女性教師が怖いんですが、とてもエレガント。それまで単調というか自由にピアノを弾いていたマチューが、どんどん音楽と融合していく様は、観ている側にも豊かな気持ちにさせてくれる程。

中盤では、音楽と人生についての示唆を与えて、彼に精神的な成長もきっかけを与える素敵な役でした。

恋愛模様も

マチューが熱心に練習を始める理由は、音楽的な楽しさよりも、音楽学院でチェロを学んでいる女の子に惹かれるという結構わかりやすい展開。

けれど現代的なのは、女性役が白人ではなく、アフリカン系の黒人がキャストされていて、さらにラブシーンでは、女性側がリードする演出。

いやいや不良ぶっていたマチューが、ここぞという時に、ウブな感じになって可愛らしかったです。現代的なシンデレラボーイの姿ですかね。

多彩な音楽が楽しめる

本映画は、物語の展開はもちろん、多彩なクラシック音楽が味わえるのも見どころ。のだめカンタービレを彷彿するようなクラシックの連続で、耳心地の良いシーンが沢山あります。音楽通ならその音楽が選ばれた理由や背景も理解できて、より楽しめそう。

女伯爵との交流でも、ラフマニノフ の「ピアノ協奏曲 第2番 Op.18 ハ短調」の展開が苦しみ→喜び→開花と変化の過程を説明するなど、勉強になります。

楽曲を手掛けたピアニストで作曲家のアリー・アローシュ(Harry Allouche))のサントラも聴きたくなりました。

You Tubeの「Milan Music」にあったので載せておきますね。

Harry Allouche – Monsieur Jacques (variation) – (Bande Originale du Film Au Bout des Doigts)

まとめ

王道的な展開の『パリに見出されたピアニスト(Au bout des doigts)』。気軽に鑑賞できる作風と、壮大な音楽編成に魅了されます。家族や恋人とゆっくり観るのにおすすめですよ。

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