映画『ルーム(Room)』感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

映画『ルーム(Room)』感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ 映画
映画『ルーム(Room)』感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

映画『ルーム(Room)』とは?

『ルーム(Room)』とは、オーストリアの実の娘監禁事件フリッツル事件を題材にした小説『部屋(Room)』が原作のアイルランド、イギリスとアメリカで製作されたサスペンス系映画ドラマです。

どんな内容?

冒頭から詳しい説明もなく、一つの部屋で生活をする若い母親と5歳の誕生日を迎えた長髪の息子。狭いワンルームの部屋には、シングルベッドと簡易テーブル、ミニキッチンと仕切りのないお風呂がある部屋。なぜこの部屋で生活をしているのか?この二人は何なのか?観客は謎を深めながら見ていくのです。

ネタバレ

早速ですが、ネタバレです。『ルーム(Room)』に限っていえば、ネタバレ抜きでは話が進められない性質の作品となっています。

母親であるブリー・ラーソン演じるジョイ・ニューサムは、17歳の女子高校生の時に、「犬を助けてくれないか?」という男性、オールド・ニックという仮称の犯人に誘拐され、納屋に監禁、陵辱、性奴隷として扱われるのです。

その2年後にジェイコブ・トレンブレイ演じるジャックを出産。自分でへその緒を切り、5年間育てあげたのです。合計7年間の長い監禁生活です。

犯人のオールド・ニックは、毎週日曜にだけやってきて、食べ物や簡単な生活必需品を渡し、セックスをして帰っていくのです。

部屋には、電子ロックキーが仕込まれており、暗証番号が解らないと出られない仕組み。部屋には窓がひとつもなく、唯一天井高くに天窓があり、空の移り変わりを垣間見ることができます。

本作の見所とは?

『ルーム(Room)』では、前半は監禁生活が中心に淡々と閉塞感を出しながら展開されていくのです。男がやってきたときの緊張感。息子のジェイコブ・トレンブレイ演じるジャックは、クローゼットで寝かされており、その間はけしてクローゼットから出てはいけないと、言われていて、彼の目線で感じ取れる光景もあります。ちなみに、直接的な描写や表現はないのが、『ルーム(Room)』のドラマとしての特徴でもあります。

脱出、解放、そして

『ルーム(Room)』の真骨頂は、監禁サスペンスではなく、解放されたあとの展開が本質といえるでしょう。

息子のジェイコブ・トレンブレイ演じるジャックを死んだことにして、カーペットにくるませて、犯人に捨てに行かせる。息子には、車の荷台が一時停止されるまでにカーペットから転がり抜け出て、さらに車からジャンプして、近くにいる人へ助けを求める、手紙を渡すように教えるのです。

5歳になったばかりの子供。しかも生まれてからこの部屋でしか育っていないため、世界や町並み、外の空気まで何一つ知らないのです。これはもう決死の覚悟でした。

車の荷台でカーペットから転がり抜けでて、空を見上げた時、そこには小さな天窓からしか見えていなかった世界と青空が広がっていたのです。ここ演出は最高でした。緊張感と新しい世界の扉が開く、高鳴る胸の鼓動まで見ている視聴者にまで伝わるようでした。

しかし、ジャックにはミッションがあります。助けを求めるということ。自分と母親と犯人しかいないと思っていた世界に別に人間がいるのです。初めて尽くしの中、幸運も重なり、無事に警察に保護され、安堵の息をもらすでしょう。

しかし……

警察に無事に保護され、大きな綺麗な病院に入院をし、広くてキレイな部屋と美味しい食事、そしてブリー・ラーソン演じるジョイ・ニューサムの母親と父親、つまりジャックから見るとおじいちゃん、おばあちゃんが迎えに来てくれて、やっと本当の家に帰れるはずなのに。

7年間という時間の間、外と中で大きな乖離が起きており、また失った自身の時間と犯人から受けたトラウマまで、部屋にいた頃より絶望的になっていくのです。

ジャックはジャックで、見るもの感じるもの、行うこと、何もかもが新しすぎて、最初はついていけないのに、子供の適応力は高く、一つひとつ学び成長していくのです。

しかし、あの部屋が自分のすべてで、自分の生まれ育った故郷であるため、何度となく部屋に帰りたいと母親に打ち明けるです。

母親にとっては、憎々しい部屋なのに、息子にとっては大切な思い出がつまった部屋であるのでした。

まとめ

ジャック を演じたジェイコブ・トレンブレイの演技や表情がとても素晴らしく、真っさらなタオルが色々なものを吸収していく様が、表現が感動的。世界は美しく、人々は親切で優しく、美味しい食べ物があるそんな良い世界。

真逆のブリー・ラーソン演じるジョイ・ニューサムは、親切をしたばかりに誘拐され、世間から注目され、テレビのインタビュアーに悪意ある質問をされ、両親は不仲になっており、けして良い世界ではなかったのです。

この真逆間こそ、『ルーム(Room)』の最大の見所であり、特色なのでもあります。

ラスト、「とりあえず色々なことに挑戦してみよう」と、ハンバーガー屋で美味しそうにハンバーガーを頬張る二人の世界は、いつどんな時も色褪せることなく、続いていくのでしょう。素敵な映画でした。おすすめです。

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