映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』鑑賞!感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』鑑賞!感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ 映画
映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』鑑賞!感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』とは?

映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』とは、実在したチャールズ・スクリブナーズ・サンズ(Charles Scribner’s Sons)に勤めていたマクスウェル・エヴァーツ・マックス・パーキンズ( Maxwell Evarts Max Perkins)を主役にした伝記ドラマです。

どんな内容?あらすじとは?

映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』は、実在したマックス・パーキンズを主役にした作品で、マックス・パーキンズは、アーネスト・ヘミングウェイやF・スコット・フィッツジェラルド、本作でももうひとりの主演でもあるトーマス・ウルフといった、作家たちを発掘し、著書をベストセラーにした編集者です。

発掘というと、ブラックミュージシャンを発掘した『キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語』に似ていますが、感情と欲望に塗れたキャデラック・レコードとは、異なり、自律し、紳士に文学に向き合ったパーキンズは、キャデラック・レコードのチェストは正反対の性格とキャラクターとなっています。知的でインテリジェンスな雰囲気は似ていますが。

ネタバレ

映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』は、ジュード・ロウ演じる、トマス・ウルフとの出会いから終焉まで描いた作品と言えるでしょう。トマス・ウルフは、処女作といえる『失われしもの』の執筆を行ったが、どこの出版社や編集者にも見向きされていなかったが、マックス・パーキンズのみが、非凡な才能を見出し、構成や編集のため、文章や言葉、単語を削除して体裁を整えていったのでした。

結果、『天使よ故郷を見よ』となり、スクリブナー社より出版。その直後、1929年にウォール街の金融暴落によりアメリカは一気に不景気に陥るのですが、本書はベストセラーにまでなる大ヒットとなったのです。

そして、『時と川について』を第二作を出版するまでの過程と、出版後の名声、さらにパトロンだった妻との確執、マックス・パーキンズとの関わりなどが、映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』の全体的な流れといえるでしょう。

編集者という仕事

編集者という仕事に題材にした作品は、日本で言えば、安野モヨコ氏著書「働きマン」や松田奈緒子氏著書の「重版出来!」があります。映画で言えば、「LIFE!」もそうですね。

そもそも、編集者という仕事は、作家やライター、ブロガーといった書き手を発掘し、彼らが書いた作品や原稿をチェックし、現代のトレンドやヒットにつながるように、内容を調整する役割を担います。さらに、本屋への卸しや(正確には問屋といわれる取次を通します)、売れるように営業、宣伝、広報など多岐に渡った業務があります。さらに、印税やギャラの支払いなどバックヤードの仕事もあるのです。

一言で、言って地味。そんな仕事を面白くおかしく、映画や作品にするとなると事件性や起承転結の波が必要になるのですが、本作『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』では、そういった意味での波がなく、比較的淡々と進んでいくのです。

トマス・ウルフが書き上げた作品を、マックス・パーキンズが校正をする。奥様で妻が取り乱したりするシーンを除くと、人間ドラマとしては、鮮明性が劣ってしまうのがもったいないでしょう。

さらに、トマス・ウルフは、酒乱や性格面で破天荒な一面があり、いわゆるトラブルメーカーとして、周りに迷惑をかけますが、マックス・パーキンズは、クールで冷静。お酒を飲んだパーティの帰りに出版社に戻り、仕事を続けるような堅物さもあります。

二人の関係は友情?愛情?

トマス・ウルフがヨーロッパから帰国し、ふたりで不況の町中を散歩し、昔トマス・ウルフが住んでいたという雑居ビルに忍び込み、ふたりで屋上から夕日を眺めるシーンがあります。

肩を寄せ合い、友情を超えた愛情すら感じられるシーンですが、2人には同性愛的な関係があったのかという、身体的にはありません。しかし、精神性でつながる2人に、妻が嫉妬したり、可愛い息子のようにマックス・パーキンズがトマス・ウルフを扱うなどを見ると、もしかすると、友情を超えた愛情が深層心理にはあったのかもしれません。

逆を言えば、アニエスカ・ホランドが監督したアルチュール・ランボーとポール・ヴェルレーヌという2人の詩人の関係を描いたレオナルド・ディカプリオ主演の「太陽と月に背いて」くらい破綻性があると、映画としてもぐっと面白さが強くなったのかもしれません。

しかし、タイトルをみてもわかるように、本作『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』は、尊敬の想いを込めて作られた作品だったのでしょう。余計な演出や脚色は添えないのです。

まとめ

マックス・パーキンズとトマス・ウルフの半生を描いた映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』。編集者としての地味で手堅い地味な仕事の部分と、トマス・ウルフの作家としての苦悩と煩悩をまさに光と闇のように描いた作品。

正直、トマス・ウルフを演じたのがジュード・ロウだったのですが、彼の良さというか持ち味が生かせず、逆にトマス・ウルフの弱さや偏屈さをもう少し上手に演じられたら、ドラマ性がもっと濃くなった気がします。マックス・パーキンズを演じたコリン・ファースは、淡々と演じており、日本でいえば緒形拳を彷彿する佇まいでしたが、男性感というか、強さがにじみ出ていると、マックス・パーキンズが抱えていた感情や想いが伝わったのではないかと思います。

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