『ギルバート・グレイプ(What’s Eating Gilbert Grape)』映画の感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

『ギルバート・グレイプ(What's Eating Gilbert Grape)』映画の感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ 映画

『ギルバート・グレイプ(What’s Eating Gilbert Grape)』とは?

『ギルバート・グレイプ(What’s Eating Gilbert Grape)』とは、ジョニー・デップ主演、助演に知的障害の弟役に若かりし頃のレオナルド・ディカプリオが出演。監督は、サイダーハウス・ルールやマイライフ・アズ・ア・ドッグなどを手掛けたラッセ・ハルストレム(Lasse Hallström)が務めました。レオナルド・ディカプリオは本映画でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされます。

どんな内容?あらすじは?

『ギルバート・グレイプ(What’s Eating Gilbert Grape)』は、アメリカの片田舎で暮らす家族5人の物語。父親を亡くし、そのショックから過食症となり、大柄になってしまった母親。知的障害を持つ弟。一家の母親代わりとなり家事を引き受ける長女、思春期の次女、そして街の食料品店で働きながら一家を支える大黒柱の長男のギルバート。

ギルバートを通して、残酷でありながら幸せな家族の物語です。

『6才のボクが、大人になるまで。(Boyhood)』や『それでも、やっぱりパパが好き!(Infinitely Polar Bear)』、『幸せをつかむ歌(Ricki and the Flash)』に近い作風となっています。

ネタバレ

若かりし頃のレオナルド・ディカプリオ、そしてジョニー・デップが主演を務めており、クラシックな印象を持ちますが、とても丁寧に作られた作品です。

ジョニー・デップが演じるギルバートは、一家を支え、男手として体力仕事をこなし、また知的障害を持つ弟の面倒を見るといった苦労を背負った男性を演じており、田舎で過ごす閉塞感を感じつつつも毎日の出来事でいっぱいいっぱいの状態。

しかし、母親を始め、家族に対して不満は募らせていても、けして恨んだり八つ当たりしないという終始一貫している男気のあるキャラクターです。

家族の問題とは?

本作が秀逸なのは、知的障害を持つ弟やショックから過食症になり太って外へ出ない母親など問題は抱えているものの、暴力やいじめといった悪意のある問題を抱えていない点です。

そのため、ギルバートも誰かに発散するのではなく、流れていく日常と田舎で過ごす自分に対しての喪失感を常に抱えているのです。

ジョリエットルイス

そんなギルバートに一筋の希望となるのが、ヒッピーで常に移動をしながら暮らしている母娘です。

ギルバートに示唆を与え、いつしか二人は恋仲に。日々の不満や苦悩を彼女と過ごすことで息抜きになっていったのでした。

母の死と壮大な幕引き

ラストが壮大です。母親が自分の力で2階へあがり、自分のベッドで休眠します。

しかし、翌朝、母親は目を覚ますことなく、あの世へ旅立ってしまったのでした。

家族は話し合いを続け、遺体をどうするか?見世物にさせるのは嫌だ、と兄妹会議で決まり、なんと家ごと燃やすという結果に。

家具を運び出し、家と母親を残し、火を付けて、父親、そして母親がいた古く愛情のある家に火を付けて火葬するのです。

残った兄妹は、燃え盛る家を観ながら、それぞれの感情に浸るのです。新しい人生の幕開けとなります。

まとめ

アメリカのピーター・シンプソン・ヘッジズ(Peter Simpson Hedges)の同名小説をもとに映画化された本作。

大草原の小さな家のような、昔のアメリカ小説にある、家族と田舎をテーマにした作品。

それ故に大きな展開はないものの、人間ドラマが描かれており大人の作品と言えるでしょう。

ラストに、田舎町を旅立つのかと思いきやギルバートは残り、旅立ったヒッピーの彼女がまた訪れて、弟と一緒に再会するのは、名シーンです。

留まることが正解か、変わりづつけることが正解か、誰にもわからないもの。

本作は、今の自分を肯定できない人に観てもらいたい

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