『怪物』ネタバレ、感想、レビュー、あらすじ!是枝裕和監督映画

『怪物』是枝裕和監督映画の感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ 映画

映画『怪物』とは?

『怪物』とは、監督を是枝裕和が務め、脚本を坂元裕二、音楽を坂本龍一が手掛け、2023年6月に劇場公開されました。前半で不可解な伏線をだして後半回収する典型的な手法で面白かったけど特に感情には何も来なかった。レトリックの面白さは

起因となる要素もドラマ「人間失格」と同じで、令和のこの時代には時代錯誤だと感じた。受け手の観客の環境によってファンタジーにもリアルにもなる作品。

どんな内容?あらすじは?

『怪物』は、主に3者の視点から描かれたサスペンス要素を含んだ人間ドラマです。

最初の視点は、安藤サクラ演じる主人公母親。夫が数年前に事故で亡くなりシングルマザーとして一人息子を育てるタフな母親。

息子の様子が少しずつおかしくなっていることに気づく。

髪の毛を自分で切ったり、水筒に砂が入っていたり、スニーカーが片方だけなくなっていたり……。

ある日、耳を怪我していることに気が付き、原因を追求すると、学校の担任の先生である、保利に殴られ、暴言を吐かれていることを告げられ、

急いで学校へ向かい、校長を始めとする先生方に訴えるも、杓子定規な謝罪ばかりで、誠意や対策が一切見られず、学校自体への不満や不安を抱くのでした。

先生の視点

第2が、先生の視点。担任になったばかりの保利先生は、不器用だけど真面目な性格。しかしある日突然生徒の母親(安藤サクラ)からクレームを受け、徐々に窮地にさらされていく。

そして公式に謝罪を行ったところ、週刊誌にも載ってしまい、辞職する羽目に。

一体、なぜ、だれが、どうして自分が。

しかし、ある日生徒の作文をチェックしていたところある二人の生徒の関係性に気がつくのです。

生徒二人の視点

本視点が最大の山場であり、物語の終結、伏線の回収です。

生徒の一人目は、安藤サクラ演じる母親の息子である、湊。

幼少期に父親をなくし、母親と二人暮らし。少しずつ自分の成長と心の変化に、一種の反抗期を迎える。

もう一人が、そんな湊の同級生であり、隠れた親友でもある、星川。

中性的で女生徒とよくツルンでいるためクラスのいじめっ子からイジメを受けている。

また、母親がおらず、体育系な父親によって虐待に近い暴行を受けている日々。

けれど、擦れておらず天使のようにフワフワしている、ちょっと特殊なキャラクターをしている。

そんな2人は、同級生にも親にも先生にも内緒で、2人だけの秘密基地を作り、そこで友情を育み、次第に恋心へと変わっていくのでした。

人間模様が得意な是枝裕和監督節。『万引き家族』を彷彿とさせますね。

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ネタバレ

結論から言うと、本作というか是枝裕和監督作品は、基本的に表のテーマと裏のテーマがあります。

『怪物』は、表のテーマはバイヤス、裏のテーマが秘密の花園でしょうか。

安藤サクラ演じる母親は噂で聞いた先生の話や、校長室での一方的な謝罪をする姿、生徒からなんとなく聞いた断片的な話だけで、「暴力教師」というレッテルを貼り、一方的に責め立てるのでした。

一方で、先生である保利も、モンスターペアレントのような安藤サクラと、校長を始めとする先生方の事なかれ主義による、一人だけ悪者扱い、さらに生徒(子供の悪意なき嘘)により、仕立てられるという立場。

最後に、キーパーソンである、湊と星川は、周りに言えない自分のセクシュアリティ(同性に好意を持っていること)を、その神聖な2人の世界を壊されたくなく、親に隠し、先生を悪者に仕立てる嘘を吐き、その子供2人を中心に大人たちが空回りしていく渦のような物語でした。

子供の魅力

子供を小道具のように映画の評価を上げるためだけに使う是枝節は「誰も知らない」「万引き家族」でもそうだったけど相変わらずエゴイストな監督であんまり好きじゃない。

とはいえ星川くん役の子は天使かと思う程自然な演技でびっくり。最初サイコパスなキャラかと思ったら後半感情を露わにし良かった。

脇役なら高畑充希と中村獅童がいい配役で良かった。あと野呂佳代はちゃんとお芝居させればポスト小池栄子になりそうなのに勿体ない。

是枝裕和×坂元裕二×坂本龍一で完全に賞狙いなのがなぁ。サブスクに出てから観るので丁度よい作品。

2人の気持ちは?

本作は是枝裕和監督もインタビューで答えているとおり、「クィア」なテーマではなく、誰もが子供が持つ内包的な気持ちを世界にした作品です。

中学生でも高校生でもない小学生で「愛」とも「友情」とも「友愛」とも言えない感情を「クィア」の一言で片付けちゃうのは無粋。

漫画『赤ちゃんと僕』のように自我と世界が出来始め価値観や性に戸惑いながら学んでいく時に、「〇〇だから」って答え合わせは違うんじゃないかな。

ま、映画のテーマは「禁じられた遊び」や「秘密の花園」だからIQ高めな子供の世界を使って神秘性を高めるのは不可欠な要素なんだろうけど。

野島伸司もファンタジー要素強めのドラマを作るけど彼はラストに希望(ドラマ「人間失格」でも無知な赤井英和演じる父親が後半になって2人の関係性を知り→受け入れる)を与える反面、是枝裕和は必ず絶望を持ってくる辺りが悪趣味なんだよな。

表のテーマは「バイアス」
裏のテーマは「秘密・未知」

アダムとイブを彷彿させるシーンもあり、人間とそうでないモノを分けてる気がしました。

けれど、子供の内包的な気持ちを形にしているのであれば、例えばいじめっ子の男の子も実は星川くんに対する想いがあって、それを表せないからイジメをしていた、ならもっと踏み込んだ形になると思いました。

実際に、先生である保利に嘘を伝えた女生徒は、主人公である湊に恋心を抱いていたようなシーンがいくつかありましたし。

まとめ

評判が高かかった是枝裕和監督の『怪物』、観客のこれまでの環境や立ち位置によって見え方がガラリと変わる作品でした。

ただ、感情を揺さぶるシーンや展開、そしてラストではないないので、サブスクリプションで配信が始まったら観るのでいいかも。

特に、実際に子供を持つ親は父親、母親ともに鑑賞し、自身の子供のことを考えてみるのにおすすめです。

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