『her/世界でひとつの彼女(Her )』とは?
『her/世界でひとつの彼女(Her )』とは、2013年にスパイク・ジョーンズ(Spike Jonze)が監督を務め、ホアキン・ラファエル・フェニックス(Joaquin Rafael Phoenix)が主演を務めた、人工知能(AI)との恋愛をテーマにした、SF恋愛映画です。
どんな内容?あらすじは?
『her/世界でひとつの彼女(Her )』は、近未来の世界を舞台にしたSFの世界です。とはいっても宇宙人が出たり、火星に宇宙旅行をするといったことではなく、現代の我々でもあるようなスマートフォンやインターネット世界、人工知能といったいたものが主流の世界となっています。
『ヤング≒アダルト(Young Adult)』や『ANNIE/アニー(Annie)』、『(500)日のサマー((500) Days of Summer)』のような映画です。
ネタバレ
現実の我々でもAIやビッグデータ、AIスピーカーといった、ロボットが人間の代わりに仕事をしたり、生活のサポートをしてくれています。
そして、人工知能はそのやりとりを通じて機械学習され、コミュニケーションが多くなればなるほど、より洗練された情報を提供してくれます。
『her/世界でひとつの彼女(Her )』は、その人工知能が恋愛相手だったらどうなるのか?といった世界の映画です。
ドラえもんみたいなもの?
本映画『her/世界でひとつの彼女(Her )』では、ドラえもんのような目に見えたロボットではなく、スマートフォンのような端末を通じた、OSが人工知能として登場するのです。
そのため、声や文字だけでやりとりをするため、目に見えたフォルムが一切ないのです。
数あるロボットやSF映画と一線を画しているのは、この目に見えたフォルムないことでしょう。
声だけの相手と恋愛は成り立つの?
本作の面白いところは、最初は興味本位で始めたAIとのコミュニケーション。
小粋なジョークで笑ったり、ゲームをしながらアドバイスをしたり、女性とのデートプランを考えてくれたりと、まさにサポートをする立場で交流が始まります。
そんな中、悲しい出来事や想い、孤独に苛まされたりするときに、優しい言葉をかけてくれたり、心遣いに心が癒やされたりと、心情的にも心を通わす形になるのです。
さらに、音声だけでの大人の営みを交わすまでいたり、目に見えた人物がいなくても成り立つ関係性がそこにはあったのでした。
代替
急転直下、物語の折り返し地点といえるのが、AIが頼んだ実在の女の子を派遣させて、ワイヤレスイヤホンを身に着けて、口元にマイク型のほくろをつけて、彼女に、AIの代わりに彼女役をやらせるのです。
最初は違和感があったものの、徐々にお互いにノリノリになり、キスをする直前までたどり着くのですが、機械とは違い、人間は心理や恐怖、緊張を感じるのです。
そこに気がついた、主人公は女の子を自宅へ帰らすのでした。
一人だけのものではない
我々のパソコンやスマホのOSが一つではなく、色々な人と共通であるように、本作『her/世界でひとつの彼女(Her )』では、結局のところ、世界中の人々の彼女もあったのです。
all for one,one for all
まさにその言葉通りの現実でした。
そのことを知らなければ、偽装の恋人関係が続いていたかもしれないのが、最終的に崩壊するのです。
まとめ
AIとの恋愛をテーマにした、ラブストーリーのひとつと言えます。
本作『her/世界でひとつの彼女(Her )』の面白いのは、登場する現実の女性の面倒くさい部分が垣間見える点です。
理想的な、自分にとって最高な女性というのはいないものでしょう。
魅力的に見えても、ストーカー気質だったり、ズボラだったり、ちょっとしたことで喧嘩して付き合いが終わったり……。
誰が悪いわけではない、人間同士の難しさを、AIが隙間を埋めてくれるのです。
けれど、結局、人間は人間としか結ばれない、まさにアダムとイブの世界が待っています。
スカーレット・ヨハンソンの声だけの演技力が光るのは見応えありでおすすめですよ。