『小説編集者の仕事とはなにか?』感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

『小説編集者の仕事とはなにか?』感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ 書評

『小説編集者の仕事とはなにか?』とは?

『小説編集者の仕事とはなにか?』とは、講談社の文芸図書第三編集部に配属となった著者唐木厚が、小説や文筆家の魅力にハマっていく内容。2024年5月20日に株式会社星海社、株式会社講談社より出版されました。 

どんな内容?あらすじは?

『小説編集者の仕事とはなにか?』は、講談社ノベルスでも180冊以上を担当し、京極夏彦や森博嗣といった著名作家を発掘した小説編集者ならではの視点で描かれています。

第一章は、小説の編集者とはなにか考えてみる

第二章が、編集者として、現場で学んだこと

第三賞が、小説編集者の仕事のステップ

第四章が、編集者としてミステリを考える(Q&A)

第五章が、これからの小説の書き方を考える

合計5章で構成されています。編集者志望や出版社に就職したい人、小説家になりたい人におすすめの一冊です。

本を出したい』や『書く仕事がしたい』のような内容となっています。

ネタバレ

まず編集者のジャンルというのが複数あります。

小説の編集者とは、「エンターテインメント小説の編集者」です。

書籍だけでも「小説」「マンガ」「実用書」「新書」など複数存在しています。

それを大別すると、編集者の仕事がノンフィクション系とフィクション系の2種類に分けられており、そのふたつの対応でかなり違いがあります。

ノンフィクション系とは?

ノンフィクション系とは「読者に何を伝えるか」に力点が置かれています。

フィクション系とは?

一方で、フィクション系は「読者にどう伝えるか」に力点が置かれています。

小説やマンガの編集者は表現者とはちょっと違います。

作家という表現者の才能を取り扱うプロデューサーの役割に近いのです。

作品だけでなく、作家をプロデュースする一面もあります。

本を出すたびに着実に読者を増やしていくことが重要になってくるのです。

「この作家の次の作品を読んでみたい」と読者に思ってもらうようにしないといけません。

そのため、小説には「読了感」が大切です。

編集者は不要?小説家になろうなどセルフプロデュースの時代

2000年代までは出版社運営の新人賞に応募するのが小説家デビューのメインの道筋でした。

2000年代後半から「小説家になろう」といった小説投稿サイトが盛況になります。

ツイッターやXをはじめとするとSNSも主流となり担当作品をSNSで宣伝する作家や編集者も増えてきました。

編集者の立場がどんどん減っていっているのです。

京極夏彦との出会い

京極夏彦との出会いのエピソードも描かれていました。

1994年のゴールデンウイークに出社していると一本の電話が。

「いまでも出版界には持ち込みという制度は残っているのでしょうか?」

イエスかノーで答えられる簡単な質問。

「持ち込みという制度が残っていないわけではありませんが、新人賞に応募していただくのが普通ですよ。新人賞に応募しないのはなぜですか?と唐木氏は回答と質問をしました。

すると、「原稿用紙1000枚の小説を書いてしまい、応募規定を超えてしまうのです。800枚まで削ってみたもののこれ以上削ると作品としては意味のないものになってしまうのです」

と、返答がありました。

中略

「それでは送ってみてください。ただしこういう形なので、2、3か月、場合によっては半年くらいお待たせすることになると思います」と伝えたそうです。

そうです。その問い合わせの電話をかけてきたのが京極夏彦氏。

その後送られてきた小説が『姑獲鳥の夏』だったのでした。

まとめ

小説家になりたいと思っている人や、出版社に就職したいと思っている人は少なくありません。

一方で、どんなふうに執筆すればいいのか、どうやってなればいいかわからない人も多いでしょう。

本書は、そんなノウハウや仕事ぶりが充実して記載されていました。

編集者の仕事とは何だろう?と思っている人も本書を手に取ってみるのをおすすめします。

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