『2040年半導体の未来 AI・量子コンピューティング時代!』とは?
『2040年半導体の未来 AI・量子コンピューティング時代!』とは、半導体などに詳しい、JSR前会長で経済同友会経済安全保障委員会委員長である小柴満信の執筆により2024年7月2日に東洋経済新報社から出版されました。
どんな内容?あらすじは?
『2040年半導体の未来 AI・量子コンピューティング時代!』は、2021年、そして2022年8月に設立された国産半導体ファウンドリー、ラピダスが登場しました。半導体を生産する工場や機関として熊本を始めとする、日本各所で話題となりました。
本書は、半導体とは何か、そして1990年頃から現在、そして未来にかけて半導体がどういう役割を持ち、経済に影響を与えるのかが綴られたビジネス書です。
第一章が、日本半導体「失敗の本質」
第二章が、ラピダスの勝算
第三章が、半導体戦略としての「生産性革命」
第四章が、半導体戦略がめざす「次世代計算基盤」
第五章が、近未来を担う「量子」と半導体戦略
合計5章で構成されています。
『行動経済学が最強の学問である』や『生成AI』のような内容です。
ネタバレ
第一章の冒頭、本書の執筆者である小柴満信氏が34歳だった1990年8月に、アメリカのオースティンにある「米モトローラ社の半導体工場」に訪れたエピソードから始まる。
この頃、日本半導体は絶頂期。半導体メーカーはもちろん、日本電気(NEC)の住友化学や、三菱電機の三菱化成、富士通の日本ゼオンと、半導体メーカーと材料メーカー取引関係が固まっていた時代。
一方、日米の半導体摩擦が起きており、国際問題にもなっていた。
「半導体」から遅れをとっていたと思われる日本が、実は1990年頃台頭していたのが伺えます。
国家プロジェクトの失敗
日本とは別に、韓国のサムスン電子が台頭していく。
1980年代に半導体製造に乗り出していたサムスンは、米インテルが技術やライセンスを惜しげもなく供与していた。
今も誇る韓国のトップ企業サムソンが、なぜここまで大きくなったのか伺えるエピソードです。
韓国のコストや賃金が日本より大幅に低かったため、韓国製DRAMは日本製DRAMに取り変わっていったのです。
パソコンもどんどん登場し、インテルのパソコンには、韓国のDRAMが次々と採用されていきました。
1999年には日立とNECがDRAM部門を分離・統合しエルピーダメモリを設立するも、国が立ち上げた半導体研究センターは、さしたる効果を上げられず、2005年には、ファウンドリーのアスプラ(ASPLA)も経営に行き詰まり解散に追い込まれたのでした。
半導体の開発およびビジネスにしていく難しさが読み取れます。
半導体の進化と台湾のTSMC
そんなごたつく日本に対して、台湾のモリス・チャンが世界初のファウンドリーTSMCを設立。クアルコム、ブロードコム、エヌビディアなど、令和の現在には皆が知っている各企業が、台湾のTSMCにこぞって発注していったのです。
ファウンドリー(foundry)とは、半導体集積回路の生産を専門に行う企業・工場になります。
半導体が生かされるプロダクトは、
電卓や家電から、汎用コンピュータ、パソコン、ゲーム機ときて、1990年代に入ると、携帯電話、2000年代にスマホが登場し、さらに、生成AI、今後は自動運転車が登場する未来となります。
半導体の活躍は、年々の増えていくのでした。
1984年と2023年の世界の半導体売上ランキング
1984年
1位:テキサス・インスツルメンツ
2位:モトローラ
3位:NEC
4位:日立
5位:ナショナル
6位:東芝
7位:フィリップス
8位:インテル
9位:AMD
10位:富士通
と、ほぼ日本とアメリカで占められていました。
2023年
1位:エヌビディア
2位:インテル
3位:サムスン
4位:ブロードコム
5位:クアルコム
6位:AMD
7位:SK ハイニックス
8位:テキサス・インスツルメンツ
9位:インフォニア・テクノロジーズ
10位:ST マイクロエレクトロニクス
と、日本企業は見る影もありません。
日本半導体「失敗の本質」
日本の半導体企業が転落したのか、本書では3つの理由が挙げられていました。
1つ目:「韓国メーカーなど新興勢力を侮っていた」
2つ目:「時代遅れの国家プロジェクトにしがみついた」
3つ目:「ファブレスとファウンドリーに分業する潮流を見逃した」
※ファブレスとは、自社で工場を持たずに、製品の設計や開発に特化してビジネスを行う経営方式や、そのメーカーを指します。
まとめ
あとで追記すると思いますが、本書では、現在のラピダスまでの経緯や今後の半導体におけるビジネス影響が執筆されています。
半導体メーカーに投資をする人や、そもそも半導体とは何か知りたい人は、必読おすすめです。