『月花美人』書評、感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

『月花美人』書評、感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ 書評

『月花美人』とは?

『月花美人』とは、女性の月経にまつわる課題を、江戸時代を舞台に解決に奮闘する男性と女性の時代劇小説です。テクニカルライターで小説家である滝沢志郎の執筆により2024年7月26日に株式会社KADOKAWAより出版されました。

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どんな内容?あらすじは?

まだ男女の格差があった時代に、女性の月経は、穢れとして扱われていました。姪っ子であり我が子となった若葉を持つ、武士の望月鞘音は、娘の初潮をきっかけに女性の月経について考え、ナプキンとなる「サヤネ(後に、”月花美人”と名付けられる)」を製作した。

第一章が、サヤネに切られる

第二章が、初花

第三章が、不浄小屋

第四章が、蟷螂の斧

第五章が、清く気高く美しく

第六章が、殿の御成り

第七章が、真剣勝負

合計7章と序章、終章の9章で構成されています。

推し、燃ゆ』や『蛇を踏む』のような本でした。

ネタバレ

月花美人は、歴史小説が得意な滝沢志郎氏が執筆しており、主要文献としても、田中ひかる『生理用品の社会史』や成着弘和『女性と穢れの歴史』など、数多くの文献を参考にして執筆されています。

そのため、空想だけでなく、リアリティーのある内容に昇華されていました。

不浄小屋

本書で特徴的で面白いのは、時代背景が江戸時代となっているため、女性と男性との格差や、女性の差別が、現代よりも如実に描かれている点でしょう。

一方で、弱い立場にいる女性が、知恵や工夫を活かして女性の尊厳を守るために、女性同士で絆を繋ぎ合わせている模様が垣間見えます。

その一つが、<不浄小屋>です。

月経が来たときに、敢えて<不浄小屋>に隔離することで、男性から距離を離す目的や、月経時の女性の身体的負担を和らげるために、敢えて隔離する場所。

この背景には、少し体調が悪いからといって女性は休むことができない=年中働かせられるといった時代的な背景と本当の理由もありました。

男性から、社会から、女性の立場を守るために、敢えて月経を穢れすることで、秘密裏に守られていたのです。

男性の侍がナプキンを作る

本書の見どころとして、主人公の侍が、姪っ子であり、娘の月経をきっかけに、考え、ナプキンを作り始めた内容です。

そのため、読み手の女性はもちろん、男性読者にもわかりやすくり理解や発見が得られるようになっている点でしょう。

もともとは古布などで月経時には補っていたのを、良質な紙で作り、試行錯誤のうえ、作っていくというのが真骨頂。

時代劇的な要素も絡みつつ、十二分に楽しめる内容となっています。

まとめ

時代劇×月経という新視点の小説。小説といっても、ちゃんと背景や文献をもとに作られているので読みやすく、楽しめるでしょう。

老若男女はもちろん、中学生や思春期、第二次性徴期に入った、男の子や女の子に特におすすめの一冊となっています。

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