東京芸術祭とは?
東京芸術祭とは、豊島区が芸術、アート、イベントに力を入れている区を上げての都市型総合芸術祭です。2016年を皮切りに、2017年、2018年、そして2019年と連続開催されています。豊島区というと、池袋にある東京芸術劇場が有名で、主に東京芸術劇場を中心に、演劇や芸術、アートの催しを開催しています。
どんなことをやるの?内容は?
東京芸術祭は、毎年、海外から著名なパフォーマーを招聘したり、市民や劇団で活躍している役者の方と舞台を作り上げるなど、様々な内容を展開しています。
2019年は、ロシアのチェーホフによる有名な作品『三人姉妹』をロシア手話を交えて公演するという新しい試み。2019年10月18日 (金) ~10月20日 (日)、東京芸術劇場のプレイハウスで上演しています。
他にも、有名所で言えば、劇作家である野田秀樹氏による劇団「ノダ・マップ」により公演が同じく東京芸術劇場のプレイハウスにて上演。出演は、松たか子氏、上川隆也氏、広瀬すず氏、志尊淳氏といった豪華な俳優陣が出演しています。
その他、観て楽しい、参加して楽しい、イベントが盛りだくさん。演劇だけでなく、映画や文学など様々な催しがあるので、気軽に参加してみては?
野外劇『吾輩は猫である』とは?
今回、鑑賞したのが、池袋の西口にある東京芸術劇場の目の前の敷地で開催された野外劇『吾輩は猫である』です。
野外劇『吾輩は猫である』とは、第56回岸田國士戯曲賞を『◯◯トアル風景』で受賞した新進気鋭の演出家ノゾエ征爾氏による作品で、総勢80名弱による大所帯のキャストが入り乱れる演劇作品です。
どんな内容?あらすじは?
野外劇『吾輩は猫である』は、夏目漱石の「吾輩は猫である」を下地にした作品で、主人公の中年のおじさんに訪れる幻覚なのか?妄想なのか?しかし、その裏で操るのは、実は猫ではなのか?といった、昭和テイスト、アンダーグラウンドの雰囲気を醸し出した哲学チックな内容となっています。
ネタバレ
野外劇『吾輩は猫である』は、総勢80名も役者たちが集うため、入れ替わり立ち替わり舞台に上がるため、てんやわんやなドタバタなコメディに近い展開が特徴です。
特に、主要な役どころと言える、「中年のおじさん」「その奥さん」「教師」「女学生」が主軸となっていて、その役どころを複数人が同じ役を演じているのです。恐らく普遍的な人物を、たくさんの人が演じることで、多角的な視点で見せるという、大衆演劇の醍醐味を活かしているのだと思います。
そこに、なぜか、ずっと舞台に出っぱなしの、ただのおじさんが一人、お酒を飲みながら見学していて、時々野次を飛ばしたり、話に入ってくるのです。
これは、不思議の国のアリスと同じ見せ方で、ドタバタに巻き込まれる主人公、アリス=中年のおじさん、それを追いかける人たち=不思議の国の住人たち、それを俯瞰的に観ているチェシャ猫=ただのおじさん。という役割なのでしょう。
このおじさんがいることで、何度もループする物語を、一軸として展開することができるわけです。リセットされないという意味ですね。
まとめ
2016年より催されている東京芸術祭。4年目を迎える2019年、早速鑑賞した野外劇『吾輩は猫である』は、80名からなるキャストの熱いパフォーマンスが眩しかったです。
特に、芸術の都のパリや、ブロードウェイミュージカルがあるアメリカ、最近ではシンガポールなどでも野外劇は見かけますが、東京のど真ん中でしっかりとしたステージで観たのは初めてかもしれません。
さらに、音響や照明はもちろんしっかりとしたプロが参加しているので、いわゆる素人劇団のようなチープさはない反面、音楽は実際に参加している2名のトロンボーン演奏者のみと醍醐味!
夜に響き渡る役者の声とトロンボーンだけが奏でられ、池袋という街が新しい世界へ生まれ変わったかのよう。
公演は、2019年10月19日から10月29日まで東京芸術劇場 劇場前広場で開催されています。
ステージ前の椅子席は、500円というお手頃価格で当日その場でチケット購入ができる他、立ち見による無料観覧席もあるので、ふらっと遊びに行って鑑賞するも良いと思います。
初日は150席がほぼ全て埋まっていました。500円×150席だと75000円か、役者さんたちのギャランティはどうなっているのだろうかと、要らぬ心配をしました(笑)