『パリの調香師 しあわせの香りを探して(Les Parfums)』とは?
『パリの調香師 しあわせの香りを探して(Les Parfums)』とは2019年に公開されたフランスコメディ映画。主演はエマニュエル・ドゥヴォス(Emmanuelle Devos)が演じ、相手役としてグレゴリー・モンテル(Grégory Montel)が務めました。
どんな内容?あらすじは?
ハイヤーの運転手をしているグレゴリー・モンテル(Grégory Montel)が演じるギヨームは、気難しい調香師のエマニュエル・ドゥヴォス(Emmanuelle Devos)が演じるアンヌの雇われ運転手となる。
しかし愛想もなく召使いのようにコキ使うアンヌに嫌気がさし仕事終わりに反発してしまう。
一方アンヌは自分の不器用さを真摯に指摘するギヨームに好感を持ち、再度運転手として仕事を依頼する。いつしか2人は気の合ったビジネスパートナーになっていく物語です。
『最強の2人』のような快活な作品に仕上がっており、また男女でありながら恋仲にならない2人の関係性が潔癖で面白かったです。
エマニュエル・ドゥヴォス(Emmanuelle Devos)は、『ココ・アヴァン・シャネル』にも出ていたんですね。キャラが異なっていて気が付かなかったです。
また、Dior(ディオール)やエルメスが監修や協力をしていました。香水に興味のある方にはぜひおすすめしたい作品でした。
ネタバレ
タイトルは「調香師」とついていますが、香水に関する話題はほとんど出てきません。というのも本作の主人公アンヌは過去に鼻が効かなくなり調香師を続けられなかった経緯があったからです。
香りを嗅げるようになりましたが、香水作りはできなくなり、いつしかトイレの香りやカバンの臭いニオイを改善するといった仕事しかできなくなったのです。
心優しいギヨーム
一方ギヨームは離婚し愛娘と月1度会う約束になり、その約束を続けるために仕事を辞めることができずにいました。
いつかは娘と暮らしたいと願い、1ルームのアパートでは暮らせないと指摘を受け、引っ越しを計画するなど娘愛に満ちた優しい父親。
ある日草刈りをしている人を見て、自分の父親を思い出したことをアンヌに告げるのでした。
その言葉からけして恵まれた家庭で育ったわけではないことが垣間見えました。
父親が連れて行った場所とは?
そんなギヨームでしたが、娘の誕生日プレゼントに何を贈ればいいか悩んでおり、アンヌに相談したところ、「あなたが連れて行きたい場所につれていきなさい。物はその瞬間で終わるけれど思い出は一生残るわ」とアドバイスを受け、ギヨームは海へ連れて行くのでした。
この場面転換があっさりしているためピンと来ないと思うのですが、本作の舞台はフランス・パリです。パリは内陸の街。
つまり海のある地域まで娘を連れてドライブへでかけたのです。
娘も恐らく裕福な家柄ではないため、海へ行く機会もほとんどなかったのでしょう。初めて?と思わしき海で親子ではしゃぐ姿が印象的でした。
海の近くのレストランで食事をし、「ママには内緒だぞ?」と靴についた砂をどう誤魔化すかなど、秘密を作るのです。
こういう思い出は一生忘れられないですよね。
成長するアンヌ
また、アンヌもギヨームから指摘を受けて、「Merci(メルシー:ありがとう)」など気遣いの言葉を言うようになったり、レストランのウェイターに顔を向けず一方的に注文をする失礼な態度をギヨームから指摘され、改善するなど配慮に欠けた人間性が徐々に変化していくのでした。
しかし、ある仕事を受けたことでストレスが溜まり、また鼻がダメに。
車の中で睡眠薬を飲んで寝てしまうのですが過剰摂取によりギヨームの運転で病院へ。
その際スピードを出しすぎたことで免許剥奪となってしまったギヨームでした。
まとめ
そんなことも露知らず目が覚めるとギヨームが連絡をしてくれた鼻を治してくれるメンタルクリニックの先生によって少しずつ回復。ギヨームと連絡が取れないことを気にし、彼のボスのもとへ。事情を知ったアンヌはギヨームが草刈りの仕事をしている場所へ赴き、改めて自分の仕事のパートナーになってくれないかと打診するのでした。
数カ月後、そこにはアンヌのパートナーとしてしっかり仕事をしているギヨームの姿が。
娘の授業参観では、調香師としての職業を子どもたちに教え、娘の目は愛する父から、尊敬する父親へと変わっていったのでした。
久しぶりにフランス映画らしい感動作に出会えました。親子や家族、恋人同士で観るのをおすすめします。