『女を修理する男(The Man Who Mends Women The Wrath of Hippocrates)』とは?
『女を修理する男(The Man Who Mends Women The Wrath of Hippocrates)』とは、コンゴ共和国を舞台に、婦人科医の、デニス・ムクウェゲ氏を通して、コンゴで起こった悲惨さを訴えたドキュメンタリー映画です。「ホテル・ルワンダ」や『マンデラ 自由への長い道』と同じようにアフリカでの出来事をきっかけにした作品となっています。
どんな内容?あらすじは?
『女を修理する男(The Man Who Mends Women The Wrath of Hippocrates)』は、婦人科医であり、2018年にノーベル平和賞を受賞したデニス・ムクウェゲ氏に着目し、そこでコンゴ共和国で起きた悲劇を伝えた内容です。
コンゴ共和国では、他のアフリカ諸国と同じように戦いが絶えず、そこで被害者となるのが女性です。男性に襲われ、ダメージを受け、子供が作れない体になったり、手術を必要とする体になることもしばしば。デニス・ムクウェゲ氏は、彼女らを保護し、手術を行い治療を施すのでした。
ネタバレ
しかし、いくら体の治療はできても、心の治療はできません。また被害は長く続き、多くの女性がダメージを受けました。ときには、10代の若い女の子たちも…。
そんな彼女たちの心の支援を行ったり、また活動を通して、今後こういった悲劇が訪れないように政府や軍に訴えかけるのでした。
そんなデニス・ムクウェゲ氏の訴えかけに周りの人々は、前向きになりいつしか大きな力となっていくのです。
ある女性が言うのです。「彼は活動を行うのに1フランだってもらっていないわ!」「裁縫を教わり、文字を勉強し、少しずつお金を貯めた。300ドル貯まった。小さな土地を買いたいと相談したら、良いことだ。といくらかのお金も支援してくれた」と。
また、10代の女性たちが集まった会では、臆するような言動に、もっと素直になれ。正直になれ。と本音を吐露させ、涙とともに大きな告白をさせ、前向きに進んでいく優しさを伝えるのです。そして一緒に活動している女性が指揮を取り、歌を歌い、踊りを踊り、文字通り鼓舞するのです。
このシーンでは、彼女たちに配慮し、後ろ姿しか映しません。カメラとして、作品として、礼儀ができており、安易なカメラワークになっていない作り手の思いが伝わりました。
解決は?
また、女性だけでなく、男性に対してもカメラを回すシーンがあります。なぜ問題が発生するのか、彼らは本当のことを言っているのか。軍を前にして裁判を起こすシーンです。
女性の弁護士は言います。「呪術師がなくなれば良いのに」。宗教や思想から問題を起こす人もいるのです。
まとめ
『女を修理する男(The Man Who Mends Women The Wrath of Hippocrates)』では、直接的な描写はないものの、だからこそ繊細に丁寧に扱っていることが観客としても理解できます。そして、そこに生まれる問題や悲惨さ、それをどうすれば解決できるのか。ホテル・ルワンダのように戦争の最中ではなく、現在進行系で動いている問題なのです。
本映画は、2016年に難民映画祭で上映。(主催は、国際連合難民高等弁務官事務所 (UNHCR) 駐日事務所)。また日本語字幕入りDVDがクラウド・ファンディングによって作られたので、視聴する機会はあると思います。