『大統領の料理人(Les Saveurs du palais)』映画の感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

『大統領の料理人(Les Saveurs du palais)』映画の感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ フランス

『大統領の料理人(Les Saveurs du palais)』とは?

『大統領の料理人(Les Saveurs du palais)』とは、実在した大統領の初の女性シェフ、ダニエル・デルプシュ(Danièle Mazet-Delpeuch)をモデルにした、料理映画です。主演をカトリーヌ・フロ(Catherine Frot)が務め、第38回セザール賞では主演女優賞にノミネートされました。

どんな内容?あらすじは?

『大統領の料理人(Les Saveurs du palais)』は、1980年代に2年間、フランソワ・ミッテラン大統領に仕えた女性シェフを描いた作品です。

主人公のオルタンス・ラボリはフランスの田舎で穏やかに過ごしていた彼女のもとに、フランス政府の役人が現れ、大統領直々に宮廷料理人へのスカウトの依頼があったことから物語がはじまります。

宮廷の厨房には、メインを作るチームと、オルタンス・ラボリとパティシエのみで大統領の主にプライベートな食事を作るチームの2つに分かれていました。

長年務めてきた男性のみの料理チームと、二人だけで作る料理当番。宮廷にまつわるいざこざや陰湿ないじめを乗り越えつつ、素晴らしい料理を作り上げるオルタンス・ラボリの物語です。

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました(Chef)』や『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード(Interlude in Prague)』のような作品となっています。

ネタバレ

フランスの片田舎で料理を作っていた彼女の経歴については、基本的に触れられることなく映画が進むため、ジョエル・ロブション(Joël Robucho)からお墨付きもらったということ以外、彼女の料理の腕前や凄さがわからずにいますが、観ているうちに、料理へのこだわり、並大抵ではない強さを知るのが、映画としてのダイナミックな流れになっています。

南極基地でのシェフ

話が前後するかのように、南極基地でのシーンも時折挟まれ、大統領シェフを辞めたあとに、南極基地で理由もわからずに働いているシーンが登場。

基本的に、多くを語らず、作品の中でも料理の内容や食事へのリスペクトを中心としているため、彼女がなぜ、そこで、働いているのか、ラストを見るまで理解できずにいます。

南極基地で料理人をしている理由

早速ですが、そのネタバレです。オルタンス・ラボリは、大統領シェフを辞めた後に、新しい新天地への移住を考え、お給料が高い南極基地のシェフを1年間務めたのでした。

同時期に滞在していたオーストラリアのカメラマンとディレクターの女性との会話で、オルタンス・ラボリは、ニュージランドにトリュフの栽培ができる土地を見つけ、そこを新天地として選んだわけです。

なぜ大統領の料理人を辞めたのか?

もう一つの理由。

オルタンス・ラボリは、最初は未来への希望を持ち、大統領の食事を作っていたのですが、彼女の存在を疎ましく思う主厨房の面々や、経理を管理しているスタッフによる、経費節約に伴う食材確保の制限などに遭い、思うような料理が作れなくなっていくのです。

ある夜、厨房で大統領との会話の中で「いじめられているね?私もさ。逆境だよ」と、王宮で働く難しさや人間の陰湿な部分を垣間見えるシーンでもありました。

手紙とともにさよなら

ある日、大統領がチュニジアへ行くことになり、留守の間に、大統領へ手紙を送り、宮廷料理人を辞めてしまうのです。

オルタンス・ラボリのモノローグで、料理を作り続けることに、心身ともに疲れてしまった、と。

映画のなかでは、大胆かつ美味しそうさな料理をまざまざと見せられていますが、実際の2年間は孤独であり、不安であり、味方の少ない中で、作り続けることは、大変なことが示唆されているシーンでもありました。

こうして、彼女は、次の新天地を探す旅に、そして資金を貯めるために、南極基地へとやってきたのです。

まとめ

突如、はじまる大統領の料理人としての務め。誇らしさや権威性もあるのに、オルタンス・ラボリは、真面目に深々と料理に励むのです。時に門番に、時にスタッフに、食材の素晴らしさを語る輝かしい瞳。

それとは真逆に、うまくいかない人生と人に翻弄される虚しさの哀愁さが、とても印象的な映画でした。

とはいえ、とにかく美味しい料理の数々が登場するので、家族や恋人と一緒に気楽に観られるのでおすすめですよ。

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