『Work in Progress デジタルマーケティングで大切なこと』とは?
『Work in Progress デジタルマーケティングで大切なこと』とは、デジタルでの感覚と考え方、そしてデータ分析からアプリ開発まで理解するための一冊となっています。東京大学大学院 学際情報学府修了後、リクルートで加須数のデジタルマーケティングを担当した板澤一樹氏の執筆で2018年より翔泳社より出版されました。
どんな内容?あらすじは?
『Work in Progress デジタルマーケティングで大切なこと』は、「ネットマーケティング」や「Webマーケティング」が進化し、テクノロジーや多様なデータの活用を前提とした「デジタルマーケティング」に重点を置いた内容です。
第一章が、デジタルマーケターが持つべきスタンス、第二章が顧客を知るための調査の基本、第三章が、ユーザーの声を聴き、すばやく変化する。第四章がKPIの設計とモニタリング、第五章がリスクとリターンをコントロールする、第六章が計数感覚とファクト志向、第七章が、テレビCMのPDCA、第八章が、データを組織の共通言語にする、第九章が雑談できるボット「パン田一郎」プロジェクト、第十章がソフトウェア開発を強みにする、そして、第十一章が今すぐAIを使いたいマーケターのために、と合計11章で構成されています。
『コンテンツマーケティングの教科書』や『デジタル時代の基礎知識「SNSマーケティング」』、『ビジネススクールで教えている武器としてのITスキル』に近い内容となっています。
ネタバレ
『Work in Progress デジタルマーケティングで大切なこと』は、他のデジタルマーケティングやコンテンツマーケティングの本に類似しており、インターネットでビジネスを行う際に、読んでおくべき一冊です。
例えば、新しいインターネットのビジネスを行う際には、まず調査を行います。
アドホック型の場合、データ分析、数理モデル構築、定性・定量調査実施、KPI設計、モニタリング設計を。定常・運用型の場合、数理モデル運用、定性・定量調査の定常的な実施、KPIマネジメント、モニタリング運用が重要となってきます。
また、販促・宣伝を行う場合も、キャンペーンの企画実施、ソーシャル施策の実施、新規の広告施策の実施、ブランド/ECサイト立ち上げ、テレビCM企画実施、検索エンジン最適化、SEO施策実施に加えて、オンライン広告運用、ブランドサイト/ECサイト運用、テレビCM定期実施、SEO運用・アップデートが必要です。
さらに、エンゲージメント構築には、ペルソナ・カスタマージャーニー構築、アプリ開発、ソーシャル施策企画、ユーザーエクスペリエンス設計に、アプリ運用、マーケティングオートメーション運用、コンテンツマーケティング、ソーシャル運用、ユーザーエクスペリエンス評価まで幅広い業務があります。
デジタルマーケティングの基本「KPIマネージメント」
デジタルマーケティングでは、KPIを設定し、マネージメントをすることがとても大切です。
1、自社のマーケティングの目的を踏まえ、目的遂行のために重要な要素を出す。
2、KGIに影響を及ぼす、デジタルマーケティングに関係の深い要素を洗い出す。
3、右の2つに影響を及ぼす要素(分析要素)を洗い出す。
そして、これらの要素をどのような指標として取得するのが適切化を考えて、データを取得していないようであれば、準備を行います。
例えば、KGIが売上であれば、組織や担当者の目標は、トップダウンし、成約数や客単価、リピート客数、認知率がKPIになるでしょう。
さらに、分析用や一部担当者の目標としては、これらKPIに関係する要因として、SEO順位、セッション数、CVRが、成約数に影響を及ぼしますし、リピート客数を上げるためには、顧客満足度やメールの反応率を見ていく必要があります。
注意すべきは、KGIの向上(売上の向上)を狙いたいのに、手段が目的化してしまい、KGIの向上に有効な施策が否定されてしまったり、KGIに寄与しない施策が生まれてしまうことが考えられます。その為、KPIはなるべきシンプルなものにしたほうが良いですし、複数選定をした場合、それぞれの影響関係も意識すると良いでしょう。
エクセルとダッシュボードを比較する。
数字を追いかける際に、エクセルは重要ですが、TableauやQlikView、Domoなどダッシュボードツールを活用するのも重要です。そして、ダッシュボードツールとエクセルではそれぞれ一長一短があります。
エクセルのモニタリングでは、指標データを取得し、数値を転機する方法が一般的ですが、作成に一定の工数と時間がかかりますし、人間の作業にはミスが出やすいのです。
数値の変化があった時に、まずミスを疑うことになるのです。
AIを育てる「データ」の重要性
そんな中、昨今注目されているのが、AIです。人工知能とか機械学習などと呼ばれており、コンピューターが大きなデータから規則性に則って、数字を取得してくれます。
実は、AIはすぐに稼働するわけでなくある一定期間の学習が必要となります。
そして、AIには2つの要素があり、一般的に言われているのが「教師あり」学習が主流です。
教師あり学習は、人間が正解データを教え込み、その予測する範囲をAIを作って行くのです。
そして、もう一つが「教師なし」学習です。これは正解データを持たないため、膨大なデータの中から、傾向や規則性を見出し、分類させるのです。
2012年に発表された「グーグルの猫」と呼ばれる事例では、YouTubeにアップロードされている動画から1000万枚の画像を抽出して、ディープラーニングを行い、人間が「これは猫である」と教えなくても、猫の画像を認識するようになったのです。
膨大なデータ量と、高品質なアルゴリズムを併せ持つグーグルならではの実験として、抽象的なプロジェクトになりました。
まとめ
『Work in Progress デジタルマーケティングで大切なこと』は、インターネットビジネスを行う人には、ぜひ一度は読んでいただきたいおすすめの本となっています。
特に、数値化されたKPIやKGI、コンテンツマーケティングだけでなく、AIまで踏み込んだ紹介もあり、読みやすくて近年の一冊であることが伺えます。
さらに、細かい出典や情報ソースもあったので、仕事や業務にも役立ちそうです。