『伝え方』松永光弘の本のレビュー、感想、あらすじ、ネタバレ

『伝え方』松永光弘の本のレビュー、感想、あらすじ、ネタバレ 書評

『伝え方』とはどんな本?

『伝え方』は、編集家である松永光弘が執筆し、2023年6月11日に株式会社クロスメディア・パブリッシングより出版されました。

どんな内容?あらすじは?

『伝え方』は、編集者やライター、ウェブライター、文筆家を目指している方や、すでに生業として仕事をしている方向けの文章力の本です。学生で論文の執筆やSNSでの伝え方を学びたい方や、会社員でも資料作成やクライアント様向けの文章作成に役立つオススメの内容となっています。

1章が、「伝え方」には原則がある

2章が、「伝え方」に引力を持たせる

3章が、「伝え方」の軸をつくる

4章が、「伝え方」を最適化する

の基本的に4章で構成されています。文字が大きく余白が大きいので読みやすいのが特徴です。

『デザインの言語化』や『書く仕事がしたい』のような内容となっています。

ネタバレ

そもそも何かを「伝える」というのはどういうことなのでしょうか?

自分の想いを一方的にぶつける?

それとも、相手の気持ちを汲み取った言葉を伝えること?

本書ではまず「伝えたいことを、伝えてはいけない」と説明しています。

伝えたいことを、伝えてはいけないとはどういうこと?

「伝えることをひとことで伝えられない」のが、伝えられないことだと冒頭で解説しています。

たしかに、何かを伝えようとするときに、理由や意味を長く伝えがち。

でも短文でも伝わらない、もしくは違った解釈を持たれることが往々とあります。

美文と悪文

この長く伝えてしまうことに、「美文」にしようとする癖があることを本書では指摘しています。

逆に「悪文」でも、しっかり伝わります。

本書では講演会のアンケートを例に説明しています。

「今朝は久方ぶりに高く晴れた空を(中略)またぜひとも御話を拝聴させていただきたく存じます」

きれいな美文ですね。けれど何を伝えたいのかいまいち伝わりきれません。

逆に、悪文というかストレートな文章がこちら

「めちゃくちゃ反省。涙が出ました。やっぱり人は大事にしなくちゃです。ありがとうございました」

けして上手い文章ではないですが、当人が感動をし、ストレートに、素直に書いているのがわかりますよね。

このように美文やきれいな文章に拘るあまり、何を伝えたいかわからない点がよくあります。

個人的に、この内容を読んで、プロポーズに近いと感じました。

長く理由や相手の魅力、自分が叶えたいことを伝えるよりも、シンプルに「好きだからずっと一緒にいたいです。結婚してください」と伝えたほうが胸に来るものがあるでしょう。

注目すべきは既知と未知の間

本書で一番学んだのがこの「既知と未知」です。

既知とは、「ビールって酔うんですよね」と言われても、アルコールが入っているんだから当たり前だとしか思わないですよね。これ既知です。

未知は、「ビールの成分のひとつ”トレオニオン”を発見したのは、ウィリアム・カミング・ローズなんです」と伝えられても「はぁ?そうなんだ」と、逆にどうでもいい話として受けてしまいます。これが未知です。

重要な、既知も未知でもない、その間。

「ビールを飲むと、脳の血のめぐりがよくなってアイディアが出やすくなるんですよ」、こんな風に伝えられたら、「じゃあビジネスの話をお酒飲みながらしよう!」とか「友達と旅行の計画をお酒を飲みながらしよう」とか、お酒の場にいるなら「へぇ~だから昔から接待やお酒の場が重要視されていたんだ」と、理解に繋がります。

既知でも、未知でもない、その間とは、つまり知っていることの延長にある発見だと読みながら思いました。

ブログでも記事でも、つい専門性の高い情報を伝えようとしますが、そうではなく、シンプルに、読み手や受け手が中に入れやすい情報や文章力が、「伝える」ことの根幹になっていると気づきました。

まとめ

編集やコピーライティングのスキルをもち第一線で活躍する松永光弘氏だからこその文章や内容。読みやすい構成やフォントの大きさも、「伝える」ことを意識した結果なのではないでしょうか。

たしかに、そもそも「伝える」のをテーマにしているのに、読みづらい本だとしたら本末転倒ですよね。

これから文章力を磨きたい方におすすめの一冊です。

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