『君の名前で僕を呼んで(Call Me By Your Name)』映画の感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

『君の名前で僕を呼んで(Call Me By Your Name)』映画の感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ フランス

『君の名前で僕を呼んで(Call Me By Your Name)』とは?

『君の名前で僕を呼んで(Call Me By Your Name)』は、サスペリアやペケットの監督であるルカ・グァダニーノ(Luca Guadagnino)が手掛け、主演は『フレンチ・ディスパッチ』でも活躍しているティモシー・シャラメ(Timothée Chalamet)が務めました。

第90回アカデミー賞では脚本賞を受賞するほど洗練されたストーリーです。

どんな内容?あらすじは?

『君の名前で僕を呼んで(Call Me By Your Name)』は、1983年の北イタリアを舞台にしています。現代ではなく80年代というのは物語のキーポイントになるので注目です。

ティモシーが演じる17歳のエリオは、考古学者の両親と避暑地に遊びにきて、本を読んだり友達と川で遊んだり、夜遊びしたりと、等身大の高校生が満喫するバケーションを過ごしていました。

そこに、父親の助手であるオリヴァーが研究の手伝いとして来訪。一緒に住むことになるのですが、この別荘がとにかく豪邸。欧州感たっぷりのヨーロッパ調で美しい。

さらに、お手伝いさんや管理人がいたりと、エリオが裕福な家庭の子供というのが見て取れます。

そんな何不自由なく過ごすエリオの前に、背丈が高く隆々としたアメリカ人のオリバーが現れ、家族だけでなく、近所の人たちにも魅力的な存在として映るのです。

もちろん、エリオも彼に惹かれていくのがわかります。

部屋はヨーロッパで有りがちな、トイレやバスルームを間に挟んだ両隣。トイレやシャワーの機会で、間から行き来できる作りです。

そんな二人の間に静かに始まる恋愛物語。それが『君の名前で僕を呼んで(Call Me By Your Name)』です。

『アデル、ブルーは熱い色(La vie d’Adele : Chapitres 1 et 2)』や『キャロル(Carol)』のような作品です。

ネタバレ

本映画の真骨頂は、同性同士であるエリオとオリバーがいつ惹かれ合い、恋愛へと発展するかが見どころです。

先述の通り、誰からみても魅力的に映るオリバーに、思春期の不安定なエリオが惹かれていくのは自然に見受けられます。

エリオは男性としても、女性との経験が未経験で、恋愛なのか性なのか、混同している場面も。

しかし、オリバーがいつエリオに惹かれていくのかが、初見では分かりづらい点があります。

惹かれ合っていくふたり

エリオは時間や一緒にいる時間が増えるにつれ、オリバーに対する想いが確信へと変わっていきます。

そんなエリオの想いに一度は答えるかのように、唇と唇が触れ合いますが、オリバーはエリオの年齢や自身の想い・感情から理性的に止まるのです。

互いの想いが繋がり、徐々に近づくふたり。

ある日、オリバーはエリオへある手紙を書き、そこから二人は実際に結ばれていくのでした。

始まりと終わり

恋愛は、始まりがあれば終わりがあります。

結ばれた二人は、エリオの両親の配慮もあり、二人だけでミラノへ旅行へいき、甘く切ない時間をたっぷりと過ごすのでした。

時は経ち、冬支度に過ごすエリオの元へ、オリバーから電話がかかってくるのですが、その内容は「結婚をする」というもの。

また、オリバーは「親によっては病院に入れられてもおかしくない。エリオは両親に愛されている」と、伝えるのでした。

同性同士が結婚できない時代。また周りからも認めてもらうのが難しい時代でもありました。

そんなオリバーの電話の後、ただただ燃え盛る暖炉の火を見つめ、エリオは静かに涙を流すのでした。

良質な音楽と風景

本作の見どころの一つが、クラシカルな良質な音楽。そして、スマホがない時代でもあったので、読書や景色を眺める、自然を感じる風景描写が美しく魅力的です。

両親の優しさ

また、人間描写も素敵です。

エリオの好意(と行為)に気づき、優しく背中を押す父親と母親。

また、失恋したエリオに対して、その想いはけして忘れてはいけないよ、と。否定することなく工肯定する優しさ。

全体を通して、悪人はいないんじゃないかという作品です。

そう考えると、『アデル、ブルーは熱い色(La vie d’Adele : Chapitres 1 et 2)』は肉欲的で、人間としての醜さも表された作品ですね。

綺麗で美しい作品が観たいなら『君の名前で僕を呼んで(Call Me By Your Name)』がオススメです。

まとめ

そういえば、珍しいタイトルである『君の名前で僕を呼んで(Call Me By Your Name)』。実際に作中でも、恋仲になったエリオとオリバーが、「相手の名前を呼ぶ時に、自分の名前を呼ぶようにしよう」と約束しているのです。

一見奇妙ですが、時代的に恋人であることが知られるとまずいとか、一番愛おしい相手から、相手の名前で自分を呼んでもらうことの、愛情表現の一種かもしれませんね。

美しい北イタリアの田園風景と、美人な二人のラブストーリーをご覧ください。

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