『秘密のキス(Baisers cachés)』フランス作品感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

『秘密のキス(Baisers cachés)』フランス映画の感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ フランス

『秘密のキス(Baisers cachés)』とは?

『秘密のキス(Baisers cachés)』とは、2016年にフランスでDidier Bivelが監督を務めた仏映画です。主演はティーンの若手俳優Bérenger Anceauxとジュール・ウプラン(Jules Houplain)。父親には名優パトリック・ティムシットが演じました。

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ジュール・ウプランはジュリエット・ビノシュと共演したこの映画も存在感発揮しててよかった。まだ観てない方におすすめ。


どんな内容?あらすじは?

学校のナイトパーティーで庭で隠れてキスしているところを撮られたネイサン(Bérenger Anceaux)とルイス(Jules Houplain)。SNSで拡散され、親やクラスメイトに同性愛者であることがバレてしまう。特に、画角ではっきり顔が写ったネイサンは、周りからの嫌悪でいじめや暴行に遭う。

相手は誰なのか?と謎解きのように周りは詮索を始める。

ネイサンも本当の自分と偽りの自分で葛藤をする。シングルファーザーで警察官の父親も息子の性的指向を知り、どう関わってよいか戸惑う。

父親やキス相手と向き合いながら少しずつ本来の自分を取り戻していくネイサンの物語が前半です。

Summer of 85(ÉTÉ 85)』、『ブロークバック・マウンテン(Brokeback Mountain)』や『アデル、ブルーは熱い色(La vie d’Adele : Chapitres 1 et 2)』のような作品となっています。

ネタバレ

最初から周りにバレてしまうネイサンと違って、隠れていたルイス。ガールフレンドもいて周りを上手く騙されていたが、裕福な家庭でエリート志向を求められ、同性愛者への嫌悪持つ父親らの圧力に息もできないような生活を過ごしていた。

ネイサンとのキスをきっかけに、周りや父親にバレてしまったらどうしよう、という不安を抱え、ときにはネイサンを暴行し本来の自分の心を隠して生きていた。

脱却と解放

父親や周りからの理解を得て、ネイサンが本来の自分を取り戻していく反面、ルイスは父親や家族に性癖がバレはじめ、戸惑うことに。

母親がパソコンを操作した際に、ネイサンが観ていたアダルト作品を見つけてしまい父親にも発覚。

最初は誤魔化してしていたが軟禁やネグレクトを受け、自分の価値を見失い、廃墟のビルから飛び降りようとしていたところを、ネイサンとネイサンの父親に救われる。

一旦はネイサンの自宅に泊まらせてもらい、深夜リビングからネイサンの部屋に忍び込み、二人は初めて愛を確かめあうのでした。

もう、ここは甘美のひとこと。

思春期の想い合ってたふたりが、周りのプレッシャーから解放され、ポツリポツリと話しながら、距離を縮めていくのは、愛だなぁと感じながら観ていました。

ネイサンの父親もリビングで寝ているはずのルイスがいないことに気が付き、ネイサンの部屋をそっと覗くと二人が気持ちよく眠っている姿を観て、自分自身の囚われていた偏見に気がつくのです。

実際にその夜、同じ団地に住む同僚女性のもとへいき、「二人の幸せそうな寝姿を観たらバカバカしくなったよ」と吐露。

結局愛する者同士であれば、男性同士でも男女でも違いがない、と気がつく瞬間です。

母親の自立

ネイサンの父親から連絡を受け、迎えにきたルイスの父親。またネイサンの父親と電話で話したルイスの母親は、本当のルイスを大切にすることを誓い、別居と離婚を決めて、ルイスとルイスの弟と家を出てやり直すことを決意。

父親もいつか理解してくれるだろうと期待をしながら。

そして、ネイサンとルイスは遠距離恋愛が始まるのでした。

ハッピーエンドではない終わり方

久しぶりに再会したネイサンとルイス。駅のホームで周りの目も気にせずハグとキスを交わすふたり。

今日はルイスのボクシングの試合。幼少期から父親と続けていたスポーツの大会なのです。

しかし、試合の直前になって父親が観に来てくれないのに試合に出る意味を悩むルイス。

もともと、男性的であることを示すために、父親のためにしていたボクシング。

その父親が来ないのにやる意味がわからなくなった。

しかし、父親が来なくても試合に出ることを決意し一つのスポーツとして、誰のためでなく自分のために闘うルイス。

車を飛ばしてやってきたルイスの父親はその戦い、試合に勝つ姿を観て、会場から出ていく。

雨の中追いかけるルイス。車に着くも、父親はルイスと向き合おうとせずに走り去ってしまう。

ここでエンドロール。

まとめ

もうラストを観た瞬間に悲しみと切なさがやってくる作品でした。

前半はネイサンの物語。父親と二人だけの生活。愛はあるが思春期の息子との向き合い方に悩む父親。けれど心根は愛情たっぷり。

だからこそ、不当なまわりからの軋轢にも挫けずに立ち向かえたネイサンの姿は、とにかく感動しました。

後半はルイスの物語。金髪で端正な顔出し。家もプールがあるゴージャスな家。父親はマッチョな思考だけれど、母親や弟のことを愛し、そんな父親の求める理想に自分もならないといけないと幼少期から思っていたんだよね。

けれど、キスをして、ネイサンが街中の話題になり、自分もいつバレるのか。限界寸前。

自分のことを好んでくれる彼女はいるけれど、彼女を満足させられない。そりゃそうだ。愛情があるわけじゃなくて隠れ蓑として使っているわけなんだから。

ちなみにそんな彼女が実は写真を撮った真犯人。二人がキスしているところを目撃し思いがけず写真で撮ってしまい、クラスメイトに送ったことをきっかけに出回るという。

最終的にはルイスとネイサンを理解し、ルイスが再訪する際には、ネイサンと一緒に迎えにくるくらい雪解けの関係になって良かった!

現代的なテーマとしては偏見や時代錯誤な過剰な部分も見受けられるけど、全体を通して満足感の高い映画でした。

ラストは残念だけど、あそこで仲直りしていたら、作られすぎた感もあるし、すぐに向き合えない父親の気持ちもなんとなくわかる。

そこら辺は現実的で良かったと個人的には思いました。

ぜひ、子供がいる家族で一緒に観てほしいオススメ映画です。

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