『バレンタインデー( Valentine’s Day)』とは?
『バレンタインデー( Valentine’s Day)』とは、バレンタインデーをテーマに10組のカップルの恋愛模様を描いた作品。ゲイリー・マーシャル(Garry Marshall)が監督を務め、アシュトン・カッチャー(Ashton Kutcher)が主演を務めました。
どんな内容?あらすじは?
『バレンタインデー( Valentine’s Day)』は、舞台をロサンゼルス。10組の熟年夫婦からビジネスマン、花屋のオーナー、高校生、小学生といった面々が、年に一度のバレンタインデーに恋愛を育むというもの。クリスマスではなくバレンタインデーにスポットを充ててる点が他の作品とは違って面白い着目点。ちなみに監督のゲイリー・マーシャルは、本作の翌年にニューイヤーズイブという年越しをテーマにした映画も作っていました。
『(500)日のサマー((500) Days of Summer)』や『ANNIE/アニー(Annie)』、『ディセンダント(Descendants)』のように気楽に鑑賞できる作品です。
ネタバレ
10組のカップルが登場しますが、『ラブ・アクチュアリー』などでよく使われる群集劇となっており、個性豊かなキャラクターたちが入り乱れるため、一つひとつのエピソードはあっさりした薄味となっています。
その中で、主役の一人、花屋のオーナーをアシュトン・カッチャー(Ashton Kutcher)が務め、彼はバレンタインデーの朝に恋人にプロポーズをし、気持ちを受け入れてもらい有頂天に。そんな彼を中心に目まぐるしくキャラクターが入れ替わるというお話です。
バレンタインデービジネス
日本でもそうですが、バレンタインデーは男女の恋愛ではなく、どこかビジネス商売になっている風潮があります。本作『バレンタインデー( Valentine’s Day)』でも同様で、花屋はバラの花束を男性から女性へプレゼントするお客様でごった返し。さらには注文をし、配達まで。
スタッフの一人が「なぜ自分で渡さないのだ?」という疑問に、「みんな注目されたいのさ」という皮肉な会話も登場しています。
そして、面白いのは、花屋のオーナーを営む主人公は白人アメリカンでありながら、花屋のスタッフや卸市場では、移民の人たちが溢れかえり熱く仕事をしているのです。
ロケをロサンゼルスで実施し、冒頭から広くて大きなプール付きの豪邸が登場する反面、強かに生きていく人たちが垣間見えて、そのギャップがバレンタインデーを通じて見せている点が特徴となっています。
熱い恋愛とは?
本作はロマンチックさよりも、コメディ要素の強いドラマなので、ほろ苦い恋愛というよりも誰も予想できる展開が中心です。
そのため、人を簡単に好きになるし、恋愛を行う点などは若干の軽薄さもあるので、本格的な恋愛映画を望むのであればやめておいたがほう良いでしょう。
その中でも、高校生の恋人二人が始めての営みを行おうと考えるシーンは、甘酸っぱく、しかし事に至らず淡いままで終わるのは、恋愛シーンとしては秀逸。
誰かとのことを考えたり、惹かれたりと「好き」という気持ちだけで展開する中で考えさせられるポイントになると思います。
花を流す
日本の桜流しではないのですが、ラストにアシュトン・カッチャー(Ashton Kutcher)が売れ残った花をちぎって真夜中に流すシーンがあります。
「昔はアレンジの練習にして、「誰かがあなたのことを思っています」とメッセージを添えて家の前に置いていたけど、僕なんかにもらって喜ぶのか考えたらやめたんだ」と、独白。
それまでずっと自信満々に見えるキャラクターだったのに、恋愛が上手くいかなくなり吐露するシーンは、花屋という仕事を活かした上手な演出だったと思います。
もう少し、前半でその影のあるキャラクターが垣間見えると、同情は増すと感じました。
※ちなみに、そのあと親友の女性と恋仲になるので、結果オーライですが。
まとめ
『ラブ・アクチュアリー』で散々使われた恋愛映画の表現である人間模様を上手に使った本映画『バレンタインデー( Valentine’s Day)』。
日本では女性が男性へチョコレートをプレゼントする日となっていますが、本作では男性が女性へ花束をプレゼントする日となっています。
登場するキャラクターを10組にせずもう少し減らして、一つひとつの恋愛を深掘りすればドラマチック性は高くなるかもしれません。
頭を使わずに作品を観たい方におすすめの映画です。