『となりの億万長者』とは?
『となりの億万長者』とは、アメリカにおける富裕層マーケティングの第一人者であるニューヨーク州立大学の教授であるトマス・J・スタンリーの執筆で、東短インフォメーションテクノロジーの代表取締役社長である斎藤聖美氏の翻訳で株式会社早川書房より出版されました。
どんな内容?あらすじは?
『となりの億万長者』は、億万長者とは実際にどんな人々なのかを調査・研究をし、まとめ上げた一冊。そして彼らが億万長者である理由と億万長者になるための方法や秘訣、メソッドを集約した資産管理やお金にまつわる本です。
『1万人の貯蓄長者から学ぶ6000万円貯める技術』や『お金持ちの行動学』、『年収は「住むところ」で決まる 来ようとイノベーションの都市経済学(THE NEW GEOGRAPHY OF JOBS)』に似た構成となっています。
ネタバレ
億万長者というとどんなイメージを持っていますか?
大きな家に住み、素敵な外車に乗り、沢山の買い物、美味しい食事を毎日食べられるなどといったイメージでしょうか?
本書『となりの億万長者』では、そんな生活をしている人を高額所得者と定義しています。
仕事で高額のお金を稼ぎ、所得を得る反面、税金で沢山持って行かれ、残りのお金を支出にあてる。
結果、家には貯蓄はなく、蓄財劣等生となります。
実は、本当の億万長者は、中流家庭の家を持ち、住み、毎日家計簿をつけ、割引クーポンを取得して節約を行っている、隣人。それが『となりの億万長者』なのです。
え、なんでそれが億万長者なの?
蓄財優等生と蓄財劣等生とは
例えば、プロ野球選手や芸能人、アイドル、一攫千金で宝くじが当たった人など、本人の才能や運によって、巨額の富を一夜に手に入れる人もいます。
しかし、彼らはお金に関する知識やリテラシーがないため、手にしたお金を使うことに夢中になり、結果借金を背負ってしまうわけです。
また、自分で会社を起業した人も、自己の経済管理ができないため、稼いでいるうちは良いが、何かのアクシデントがあった際に、すぐに貯金が底をつき、再起が難しくなります。
逆に、貯蓄優等生は、小さい頃からお金の大切さと有り難み、支出より収入を大事にするという基本的な知識があるため、自分で稼ぐという攻めと、支出を増やさないという守りがしっかりと出来ているわけです。
蓄財優等生の夢やモチベーションとは?
では、億万長者なのにお金を貯めてばかりいて、何の意味があるの?お金は使わなくちゃ意味ないでしょう?
そんな意見もあると思います。
しかし、『となりの億万長者』でしっかりと蓄えをしている人たちにとって、幸せとはお金を使って、少なくとも見栄を張ることではなく、家族や愛する人たちと幸せに暮らし、お金や経済による制限や不満を抱えずに生きることが、幸せになっているというのです。
その為、本書『となりの億万長者』では、 スーツや時計などのステイタスアイテムに支出したお金は、360ドル(約3万6000円)が統計分布でもっとも数が多いという結果となりました。
では、貯めたお金をどうするのか?
彼らは、投資や貯金に回し、お金を増やす努力を続けているのです。
予算を立てて出費をコントロールしたからこそ、億万長者になれたし、今も裕福に暮らしているわけです。
毎日ジョギングをする人たちは、そんなことをしなくてもいいようなスタイルをしていますが、毎日走るからこそ引き締まった身体でいられます。
経済的にゆとりのない人は、自分の生活を変えようとしないため、ゆとりが出来ないのです。
金持ちが多い職業 競売人
100万ドル以上の資産を持つ競売人の平均年齢は50歳。高級住宅街に住む億万長者の平均年齢より6歳から8歳若い。
億万長者の競売人の住居費は、高級住宅街に住む億万長者の住居費の三分の一でしかない。
競売人は他の高額所得者に比べ、値上がりの見込まれる資産に投資している割合が高く、自分たちが専門知識を持つ分野で投資している。
競売人は倒産に詳しい。彼らは、消費財は買った値段の数%でしか売れないことを知っている。だから彼らは無駄遣いをしない。
住宅ローンは年間の現金所得の二倍以内に抑えること
住宅、住む場所も重要です。
あまりお金のかからない地域に住めば支出が減り、投資に回すお金が増えます。
家も、安くて住むため固定資産税が少なくなり、近所の人が高級車を乗りまわすことも少ないです。
34歳の証券会社の人が、年収8万4000ドル(約840万円)で、31万ドル(約3100万円)の家を購入したいと相談。しかし住宅ローンで25万ドル(約2500万円)抱えると困難だろうと、20万ドル(2000万円)の家をおすすめしたtころ、「トラックの運転手や工事作業員の住むような場所に住みたくない」と退けたそう。
しかし、建築現場で働いていても妻の収入を合わせれば年収8万4000ドル以上稼いでいるカップルは、結構います。
もちろん、銀行員は、25万ドルの住宅ローンでも問題ないとい言います。
それは、狐にに、小屋に鶏が何羽いるか観てきてと頼むようなものでもあるのです。
まとめ
お金の管理や啓発本の中で、有名すぎるほど有名な『となりの億万長者』。
お金持ちというのは見せびらかすためのものではなく、自分の力でお金をコントロールすることと、新たな見方を示しています。
本書の特徴は、お金の貯め方や億万長者になるための説明だけでなく、株を売ると税金が発生したり、遺産を与える子供への教育など、人生に当てはめて説明している点です。
「犬を飼ってはいけない」とあとからルールを決められたあるオーナーが、「彼の会社の福利施設として提供し、工場に働く組立工たちが休暇に使えるよう一年中開放する」と発言し、
犬よりも不特定多数のブルーカラーの人々がマンションに訪れるというイメージを植え付けさせ、犬を許可させた話。しかしオーナーは悪意を持った人々が住むマンションを安く売り払い、自分の安定した心地よい生活を重視したのです。
お金の損得だけでなく、自分の生活、人生、ライフスタイルにとって、邪魔になるものを削ぎ落とし、潤いのある生き方を作っていく。それを『となりの億万長者』では教えてくれています。未読の方におすすめの一冊ですよ。