『4つのブランドを立て直した八方塞がりを打破するマーケティング』とは?
『4つのブランドを立て直した八方塞がりを打破するマーケティング』とは、元ウブロジャパン代表取締役でブランド再生アドバイザーとして活躍している高倉豊氏の執筆で、2013年に角川書店から出版されました。
どんな内容?あらすじは?
『4つのブランドを立て直した八方塞がりを打破するマーケティング』は、お金がない、競合がお多い、失敗続き、売る気がない、マーケットがない、知名度がない、時間がない、商品力がない。といったビジネスを行う上で足りない要素をいかにクリアしていくのかをまとめています。
第一章が、お客様が買う理由を生み出す。第二章が、売れない前提条件をひっくり返す。第三章が追い込まれた状況を逆に利用する。第四章が、期待の新商品の話題をどうやってつくるか。第五章が、販売員すら売る気がないものを買う気にさせる。第六章が、「こんなの売れない!」と思う商品を売る方法。第七章が、絶体絶命のブランドを立て直す秘策。第八章が、超個性的な商品をメジャーにするのは。の合計8章で構成された本です。
『50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?』や『問題です。2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい』に近いマーケティングに関する内容となっています。
ネタバレ
イブ・サンローランやジバンシィといった有名コスメブランドで代表取締役や日本法人のまとめ役として抜擢され、外資の本社から無理難題を突きつけられながらも、数々のアイディアを元に、売上を伸ばしてきた著者。
例えば、まだ日本では知名度が低かったジバンシィの売り場を百貨店に設けてもらうにも、ただ他のブランドと同じようにフロアに入れてもらうのではなく、百貨店担当者の悩みである「我々がほしいのは、新しいお客様なんです。百貨店全体の化粧品の総売上を伸ばしたい。欲しいブランドの売り場が増えても、お客様の奪い合いをするなら何の意味がない」という言葉をヒントに、ジバンシィの売り場を作るということ以上に、百貨店に新しいお客を呼ぶことを強く意識して考えるようになった著者。
そこで、ターゲットを男性にし、「化粧品を男性から女性へのギフトにしてもらえれば、新たなお客を呼べる」と考え、「ネーム入りキーホルダー」を作り、女性へのプレゼントコスメとしてPRしたのでした。
他にも、イブ・サンローランの商品を売り場の販売員にヒアリングする際にも、現場の声を聞きすぎないように注意し、「感性に訴える」と「理性に訴える」の2つが合った場合、意見の多い方の逆を採用したそうです。「すでに他のブランドがやっていること」につながるためです。
アイデアを実行するために必要なこと
実際に仕事をしている上で、チームや同僚、仲間に仕事を相談したり、依頼しても、スムーズに動かない場面もあります。特に、中途入社で入った場合には、最初の1ヶ月くらいは、親切で色々手伝ってくれる人もいますが、半年も経てば、皆自分の仕事や業務が忙しくなり、なかなか言うことを聞いてくれません。
では、どうやって話を聞いてもらうか?
それは、早い段階で結果を出すこと。です。
本書『4つのブランドを立て直した八方塞がりを打破するマーケティング』では、イブ・サンローラン・パルファンの社長に就任した時にも、ポーチのおまけ戦略で売上を上げて、まず目先の売上を伸ばすことを始めたのでした。一度成功すれば、多少の融通が効くようになります。
手持ちの材料でなんとかする
成功させるってどうすれば?
誰もが、売上を伸ばしたい、結果を出したいと模索してもやはり一筋縄では行きません。知恵の一つで全てが好転すれば、皆成功して出世していることでしょう。
そこで、まず自分の手持ちの材料を見直す、棚卸しをすることから始めてみませんか?
人材、人脈、経験、ノウハウ……。もしかすると、アイデアにそれぞれを結びつけるとビジネスとして大きな展開が期待できるかもしれません。
新しい酒は、新しい革袋に盛れ
『新約聖書』に出てくる有名なフレーズですが、アレンジして、「新しいアイデアは新しい場所で活かす」ことが重要です。
もともとは、新しいぶどう酒を古い革袋に入れると、発酵に耐えられず袋が破れて、酒も袋もダメになるという意味となります。
ビジネスも同じで、八方塞がりを打破するために新しいアイデアを実行するときには、思い切って場所も変更すると上手くいきます。
売れたことが大事なのではなく、どういう売れ方をしているかが大事
また、数字だけで見て、売れているかを判断するのではなく、どういう売れ方をしているかが大事です。100個の製品が100店舗で売れているのと、1店舗で100個売れているならば後者の方がインパクトが大きいのです。売れ方の勢いも含めて、「売れているように見せる」ことが、市場の存在感とブランドの勢いを増すためのポイントです。
本書『4つのブランドを立て直した八方塞がりを打破するマーケティング』の著者が、ウブロジャパンで仕事をしていたときに、3店舗だけ、他の高級時計ブランドを抜いて、月間の売上トップに導いたのです。
そして、結果、その情報は瞬く間に広がり、「なんだかすごく売れている時計があるみたいだ」といっきに話が広がり、仕事がしやすくなったのです。
また、一時的に売れるだけではなく、次の手をどう打つかによって、ブランドが一時的なブームで終わるのか、一定のポジションを得られるのかが決まるのです。
重要なのは、どういったターゲット層にブランドを認めてもらうかとなります。特に八方塞がりのブランドを再生しようとするには、一般的な王道の攻め方は考えない方が良いでしょう。
失敗は小さいうちにやっておくこと
成功事例ばかりが多い『4つのブランドを立て直した八方塞がりを打破するマーケティング』でしたが、失敗事例も紹介されていました。しかし、失敗の際に大切なのは、致命傷にせず、小さいうちに失敗をしておくこと。
時間やお金を使ったり、労力をかけると諦めることができなくなります。しかしそうなると、さらに状況が悪くなって回収できない損が増えていくのです。
それを、「サンクコスト(埋没費用)」と言います。
失敗と撤退を早い段階で実施するのが重要なのです。
まとめ
実践的な内容が多いマーケティング本である『4つのブランドを立て直した八方塞がりを打破するマーケティング』。発送の転換や人脈活用など、著者のタフネスな部分も見受けられますが、今後新規プロジェクトやビジネスを展開しようと考えている方、転職をしようとする人にもおすすめの一冊です。
イブ・サンローランの映画と併せて読んでみるといいかもしれません。