『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊( The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun)』とは?
『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊( The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun)』は、2022年1月28日から日本でも公開された、ウェス・アンダーソン監督によるアメリカ映画です。
第74回カンヌ国際映画祭で初上映されました。
どんな内容?あらすじは?
『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊( The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun)』は、フランスの架空の編集部「フレンチ・ディスパッチ」を舞台に、主に3章で分かれた構成の映画となっています。
『セラヴィ!(Le Sens de la fête)』や『スポットライト 世紀のスクープ(Spotlight)』のような作品です。
ネタバレ
ウェス・アンダーソンといえば、アカデミー賞を受賞した『グランド・ブダペスト・ホテル』や『ダージリン急行』でお馴染みの世界観が特徴。
捲し立てるようなナレーションや説明ゼリフと、アニメーションのようなストーリー展開。
本作でも、そのウェス・アンダーソン節は変わらずに観られます。
舞台はフランス
20世紀のフランスの架空の街を舞台にしており、町並みや景色はアメリカというよりもフランスチック。さらにパリのようなきらびやか雰囲気よりも、どちらかというと北フランスのような、どこか寒々しさを感じます。
そんなフランスをテーマにしていますが、ナレーションを含めて冒頭より、言語は英語。フランスを舞台にしているのに、仏語じゃなくて英語なの!?と筆者は最初は思いましたが、そこはウェス・アンダーソン。物語の展開とともに、英語とフランス語入り乱れる科白劇へと昇華していくのです。
フランスを代表する俳優・女優
例えば、第一章のキーパーソンである看守であり画家のモデルにもなっている、レア・セドゥなんか、フランスを代表する女優です。
劇中は寡黙でありながら、英語そしてフランス語を交えながら会話や、時には罵る際にフランス語を使っていました。
他にも、第二章では、アルジェリア出身のリナ・クードリや、第三章では大御所のマチュー・アマルリックといった仏映画ではお馴染みの面々が登場し、フランス映画好きにはたまらない顔ぶれでした。
物語は?
本作の重要なポイントとして、「フレンチ・ディスパッチ」という雑誌の長く努めた編集長が亡くなるのをキッカケに別冊を作ること、そして歴史を振り返ることを考えて、物語が展開していきます。
つまり、1章から3章まで、序章と終章を除けば、過去に起きた出来事を、ジャーナリスト・記者たちが過去に雑誌でまとめたものを、思い出の一片として、シーンに見せているわけです。
なので、各章に大きな繋がりがあるわけではないので、根幹で繋がっている「フレンチ・ディスパッチ」を意識しないと、断続的な物語展開を感じるようになってしまいます。
エンドロールに秘められた仕掛け
そう。答え合わせのように必要なのが、エンドロールでクレジットともに流れてくる、フレンチ・ディスパッチの表紙です。
和田誠のような絵柄とイラストで、中身を読まなくても、雑誌に込められた思いや作品が想像できる内容です。
そして、その中に、1章から3章までの表紙が登場し、「あ、この号で紹介されたんだ!」と、気がつくのです。
まとめ
米国雑誌「ニューヨーカー」をモチーフとリスペクトに作られた『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊( The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun)』。
断続的な物語展開と、英語とフランス語のセリフ劇、そして日本語字幕で、情報量の多さに辟易しますが、そこはウェス・アンダーソン。上手に見せ方を展開しているため、一人でも、恋人でも、家族でも楽しめる内容となっていてオススメです。