『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜(About Time)』とは?
『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜(About Time)』は、『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス(Richard Curtis)が監督、ハリー・ポッターにも出演していたドーナル・グリーソン(Domhnall Gleeson)が主演を務めました。
どんな作品?あらすじは?
ドーナル・グリーソン(Domhnall Gleeson)が演じるティムはカッコいい所が決められず人生を謳歌できずにいる、冴えない青年。21歳になったある日、父親から一族の秘密を打ち明けられます。男性のみ過去にタイムトラベルができるということを。半信半疑だったティムは早速その能力を使い過去に時間移動を行い、能力が本当だったことを知るのです。その使い道を描く、SFラブストーリー映画。
『きみがぼくを見つけた日(The Time Traveler’s Wife)』や『ファミリー・ツリー(The Descendants)』、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生(The Curious Case of Benjamin Button)』のような作品です。
ネタバレ
結論から言うと、在り来りな時間移動ものかと思ってみたら、ラストに向けて上手に人生観に昇華していたのが上手かったです。
序盤はタイムトラベルの能力を使い、失敗した恋愛を成功させたり、友達や知り合いのミスをカバーしたりと便利よく使う主人公。
とはいえ、時間移動をしても上手くいかない恋愛もあるなど万能ではないことも理解します。
ロンドンへ
実家を出て、ロンドンで独り立ち(正確には父親の知人の脚本家の家に住ませてもらう)をし、ガールフレンドができたり、仕事で一人前になったりと、文字通り大人の階段を登ります。
結婚、子供誕生、妹の事故
一目惚れした彼女と結婚を挙げ、念願の子供も授かり、「幸せだと時間移動を使うことがなくなった」と、毎日が充実。
しかし、天真爛漫な妹が自暴自棄の状態で車の事故を起こし、事故を起こす前と時間移動を行うのですが、自身の赤ちゃんもタイミングで変わってしまうということを知るのです。
同じ自分の遺伝子を持つ赤ん坊であっても愛着が違うため、妹の事故が起きた、過去を選ぶ主人公。
妹の回復をサポートしながら、時間移動では解決できなかった答えを見つけていくのです。
父親の死
妹も優しい男性と巡り合い結婚。しかし今度は愛すべき父親の病が見つかり、亡くなってしまうことに。
しかし、主人公のティムも、父親も時間移動ができるため、父親の生前に移動し、ふたりで卓球を楽しみ、わずかな一時を大切に過ごします。
3人めの赤ちゃんが生まれる前に時間移動をし、ティムは「もうここには(父親の生前の時間には)戻れない」と告げるのです。
父親は時間移動を行う大切なことを教えます。「一度は時間移動を使わずに一日を過ごし、その後にその時には気づかなかったことを知るためにもう一度時間移動を使う」毎日を2度味わうことで人生の醍醐味があることを伝えるのです。
けれど、ティムは一歩進んだ人生観を得るのです。
時間移動を使ったような気持ちで、毎日を過ごすことの大切さを。
まとめ
この記事を書いているときに『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス(Richard Curtis)が監督を務めたと知り納得の終わり方でした。
時間移動というと、とてつもない力や影響の話になることが多い中、個人の人生に焦点を合わせて、時間移動をしなくても素敵な人生が待っているということを、伝える作品です。
ポイントは、主人公が冴えないけれど優しく、自分のエゴだけでなく周囲の人を想い能力を使う点と、主人公だけでなく、周りの人間にもフォーカスをあてているので、群像劇のような一人ひとりの愛らしさが感じられる映画でした。
特に主人公のドーナル・グリーソンは良いですね。冴えない青年時代から成功体験を得ることで、少しずつ精悍な風貌に変わっていく姿。失礼ながら二枚目俳優ではないのに魅力が増していく様は良かった。
筆者も個人ごとですが人間関係で悩んでいたり、旧友と再会し、当時では想像できないほど一気に仲良くなったりと、人生の不思議さ感じていた際に本映画を鑑賞しました。
家族で、一人で、恋人と、人生に悩んでいる方に観てもらいたいおすすめの映画です。