『臆病者のための億万長者入門』とは?
『臆病者のための億万長者入門』とは、金融小説『マネーロンダリング』などで有名な作家、橘玲氏の執筆で、文藝春秋社より出版されました。
どんな内容?あらすじは?
『臆病者のための億万長者入門』は、投資や財産管理、不動産、年金といった問題を臆病者がどうやったら億万長者になるかという観点で解説している本です。
第一章が、資産運用を始める前に知っておきたい大切なこと
第二章が、「金融の常識」にダマされないために
第三章が、臆病者のための株式投資法
第四章が、為替の不思議を理解する
第五章が、「マイホーム」という不動産投資
第六章が、アベノミクスと日本の未来
終章が、ゆっくり考えることのできるひとだけが資産運用に成功する
合計7章で構成されています。
『となりの億万長者』や『投資家の父より息子への13の遺言』、「お金は寝かせて増やしなさい」に似た内容となっています。
ネタバレ
『臆病者のための億万長者入門』では、億万長者になれる3つ方法を前提として紹介。
1つ目が、収入を増やす
2つ目が、支出を減らす
3つ目が、資産を常時に運用する
ヤギがオオカミに変わる理由
顧客が商品に納得しないときに、誠実な営業マンは正しい営業マンの態度は黙ってその場を離れること。
しかし、金融商品は、その本性から「常識」では理解できないもので、その特性を利用して、商品を売りつける。
この金融商品の魔性が、親切なヤギをオオカミに変えてしまうのです。
資産運用の4つの原則
1、確実に儲かる話はあなたのところには絶対に来ない
2、誰も本当のことを教えてくれない
3、誰も他人のお金のことを真剣に考えてくれない
4、自分の資産は自分で守るしかない
現在価値
老後は誰もが一人の投資家になります。
資産運用理論では、「実際の資産(ネット)」の価値は、「名目上の資産(グロス)」をリスクで割り引いて求めます。「生涯年収3億円」は、絵に描いた餅でしかないのです。
いますぐ食べられる市場で取引できるお餅が、「現在価値」にあたります。
そして、長く働けば人的資本は大きくなります。
もしくは、人的資本への投資によって、運用利回りを上げるか、人的資本の運用期間をできるだけ長くすることができます。
損は得よりも3倍も苦痛
100万円で購入した株が150万円に値上がりした場合、ものすごくラッキーですが、ほとんどの人はそう考えません。
その一方で、株価が下落して、50万円損すると、「ヨーロッパ旅行ができた」「給料分が丸損だ」などと悩むのです。
これを損得の非対称性といい、
1、ちょっとでも損をすると慌てて売ってしまう
2、損失が大きくなると逆に売れなくなって、塩漬けする
3、さらに損が膨らむと、一発逆転を狙ってハイリスクを取引を好むようになる
この3つがら組み合わさると、損失は大きくなっていくわけです。
不動産の適正価格を計算する
株式投資というのは、「株の実質価値は、原理的に企業が生み出す将来の利益以外にはない」のですが、不動産では他人に貸したときの賃料以外にはあり得ないのです。
では、その賃料を金利で割ると適正金額が出てきます。
不動産価格=毎年の賃料割る金利です。
例えば、月額10万円で賃料を受け取れる場合、1年間の総額が120万円です。
120%割る5%で2400万円が理論価格となります。
これを収益還元法といいます。
つまり、2400万円で購入した物件を毎月10万円以下で貸し出せるなら割安、それ以上なら割高となるため、地域の周辺賃貸価格を調べてみると、適正価格が導き出せれるというわけなのです。
3つの未来のシナリオ
さて、経済的な未来予測を立てるさいに、
1、楽観シナリオ
2、悲観シナリオ
3、破滅シナリオ
の3つがあります。
楽観シナリオは、アベノミクスが成功して経済成長が再び始まるパターン
悲観シナリオは、金融緩和は効果がなく、円高と低金利のデフレ不況がずっと続く
破滅シナリオは、国債の暴落(金利の急騰)がおき、高インフレで財政が破綻し、大規模な金融危機が訪れて日本経済が大混乱に陥る
3つのパターンが想定されます。
そして、日本の財政破綻は、
第一ステージ、国債価格がゲラして金利が上昇
第二ステージ、円安とインフレが進行し、国家債務の拡張が止まらない
第三ステージが、政府が国債のデフォルトを宣言する
まとめ
本書『臆病者のための億万長者入門』では、一般的な投資や金融資産管理の本とは違って、国の経済状況に応じた想定シナリオも描かれた内容が特徴となっています。
いわゆる、節約や節税といった家庭の資産管理も国の経済状況が悪化したら元も子もなありません。
本書『臆病者のための億万長者入門』を読んで、大義を理解しておくことをおすすめいたします。