『ゼロ・グラビティ(Gravity)』とは?
『ゼロ・グラビティ(Gravity)』とは、スペイン系の監督であるアルフォンソ・キュアロン・オロスコ(Alfonso Cuarón Orozco)が監督を務め、サンドラ・ブロック(Sandra Bullock)とジョージ・クルーニー(George Clooney)が主演を務めた宇宙を舞台にしたSF映画です。
第67回のアカデミー賞で監督賞を始めとした各賞を受賞しています。
どんな内容?あらすじは?
『ゼロ・グラビティ(Gravity)』は、ファーストシーンから宇宙遊泳の場面からスタート。宇宙船の壊れた部位を談笑しながら、修理しているサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニー。しかし、突如、宇宙ゴミが飛来し宇宙船から二人は宇宙空間へ投げ出されてしまいます。
そんな二人は、ジョージ・クルーニーに演じるベテラン宇宙飛行士マットの指示に従い、ISS、宇宙国際ステーションにたどり着くのですが、そこでもまた一波乱起きるのでした。
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日(Life of Pi)』や『ファミリー・ツリー(The Descendants)』、『her/世界でひとつの彼女(Her )』などの映画に似ています。
ネタバレ
一般的なパニック映画とは異なり、モンスターやエイリアン、人間同士の裏切りなどが起こるわけではなく、たまたま宇宙遊泳をしていたら、宇宙ゴミに衝突して、破損。そこから宇宙ステーションへ逃げ込むも、火事が発生し、中国の宇宙船へ移動し、無事に地球へ着陸するというシンプルな構成。
面白い理由は?
『ゼロ・グラビティ(Gravity)』では、まず全体的に宇宙空間を上手に仕上げているのが特徴です。宇宙服に身を包み、酸素量が減り、二酸化炭素濃度が高まる緊迫感や、国際宇宙ステーションにたどり着くも、出入口まで必死に遊泳を繰り返す姿など、シンプルな演出でありながら、地球ではあまり見ることのない光景と、必死に泳ぐ姿に、観客も食い入るように観てしまうのです。
圧倒的な美しさ
さらに、景色もとてもきれいです。真っ暗闇の宇宙空間の中、青い地球の煌きや、太陽による朝日の光まで、緊迫した空気でありながら、神秘的な情景に、登場人物の二人同様に、どこか浮世離れした気持ちになります。
地球との通信
サンドラ・ブロック演じる、主人公が必死に国際宇宙ステーションのソユーズにたどり着くも、燃料不足を知り、絶望します。
宇宙通信で地球につながるも、グリーンランドの言葉の通じない狩人の無線につながるばかり。意思の疎通も難しい中、彼の子供をあやす声や子守唄に安堵を覚え、言葉が通じなくても無人の宇宙で独りで過ごすよりも、声を聞きながら安眠する選択を選ぼうとするのです。
しかし、夢の中でジョージ・クルーニー演じるマットが登場し、彼の示唆により最後の希望を持って、地球への脱出を目指すのでした。
ここらへんの起承転結でいう、「転」の描写は見事の一言。ただ脱出するのではなく、地球との通信が繋がり、絶望から希望へ変えていく様は感動します。
まとめ
宇宙を舞台にした映画ですと、マット・デイモン主演の『オデッセイ』がありますが、あちらは火星空間に取り残された話。
本作『ゼロ・グラビティ(Gravity)』では、無重力の宇宙空間に取り残されるという物語です。
特別な出来事は発生しないのに、一つひとつを丁寧に描いているので、あっという間に時間を忘れて見入ることができるので、家族や恋人、一人で見るのにもおすすめですよ。
特に、結末の無事に地球へ着陸するも海に落ちてしまい、ハッチから出ようとすると大量の海水が流れこみ、宇宙船から脱出するも上から下かわからなくなるところに、カエルが海面へ泳ぐ姿を発見し、無事に海から浮き上がるのです。
宇宙の無重力の世界から重力のある世界へ。ここのサンドラ・ブロックの演技も素晴らしかった。
さらに、特典映像では、宇宙からつながったグリーンランドの姿を移したり、現実でも問題となっている宇宙ゴミについても言及しているので、宇宙やSFファンにぜひ観てもらいたい映画となっています。