『武器になる哲学』本の感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

書評
『武器になる哲学』本の感想、レビュー、あらすじ、ネタバレ

『武器になる哲学』とは?

『武器になる哲学』とは、慶應義塾大学院文学研究科美学美術史専攻修士課程修了し、株式会社モバイルファクトリー社外取締役でもある山口周氏の執筆で、株式会社KADOKAWAより2018年に出版されました。

山口周氏といえば、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?経営における「アート」と「サイエンス」』などでも哲学やアート、美術をビジネスに絡ませるマインドを紹介するのが特徴です。

どんな内容?あらすじは?

『武器になる哲学』は、仕事や社会生活、ビジネスを行く抜くために、哲学の強みを紹介した内容の本です。

第一部は、哲学ほど有用な「道具」はない

第二部は、知的戦闘力を最大化する50のキーコンセプト

第一章が、「人」に関するキーコンセプト

第二章が、「組織」に関するキーコンセプト

第三章が、「社会」に関するキーコンセプト

第四章が、「思考」に関するキーコンセプト

ビジネスパーソンのための哲学ブックガイドの7構成となっています。

『明日のメディア 3年後のテレビ、SNS、広告、クラウドの地平線』や『ライフシフト LIFE SHIFT|100年時代の人生戦略』に近い内容となっています。

ネタバレ

哲学がビジネスになる?誰もが疑問に浮かぶと思います。

仕事での活用の前に、人間の欲求を整理する必要があります。

1、現実をより有効に知覚し、それとより快適な関係を保つこと

2、受容(自己・他者・自然)

3、自発性、単純さ、自然さ

4、課題中心的

5、調節性-プライバシーの欲求

6、自律性-文化と環境からの独立・意思・能動的人間

7、認識が絶えず新鮮であること

8、神秘的経験-至高体験

9、共同社会感情

10、対人関係

11、民主的性格構造

12、手段と目的の区別、善悪の区別

13、哲学的で悪意のないユーモアのセンス

14、創造性

15、文化に組み込まれることへの抵抗

上記の15の欲求を念頭に置いてください。

終身雇用とは?

「企業というコミュニティー」は、「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」の3つが柱となっていました。

この3つが揃うことで、「高度経済成長期」として伸びていったのです。

では、「終身雇用」とは何か?

それは、一生面倒をみるから忠誠を尽くしてくれてというお約束事です。

さらに、「年功序列」は、コミュニティーにおいて年長者が相対的に尊敬・重用される約束事でもあり、そして、「企業内組合」があるから、仲間の雇用を一緒に守ろう、解雇されないように団結しようとい結託力が高まったわけです。

マタイ効果とは?

子供にも作用しているマタイ効果というのがあります。

例えば、同学年で野球チームを作る場合、4月生まれの方が体力面でも精神面でも発育が進み、有利の場合が多いのです。

結果、チームのスタメンに選ばれてより質の高い経験と指導を受けられる可能性が高まります。

これを企業で考えると、「飲み込みの早い子」を愛でる一方、なかなか立ち上がらない子供を短い期間で見限ってしまうという癖があるのです。

そして、より費用対効果の高い子に教育投資を傾斜配分してしまう傾向があるのですが、初期のパフォーマンスが高いと、さらにパフォーマンスを高めることができます。

そうすると、「物分りの早い器用な子」ばかり組織を抱えてしまい、噛み砕くのに時間はかかるけれど、本質的にモノゴトを理解しようとする子、イノベーションの種子になるアイデアを出すような人を阻害してしまい、その組織や企業は中長期的に脆くなってしまうのです。

付き合い方のジレンマ

ラパポートの考案した繰り返しのジレンマというプログラムがあります。

他者に対して人が持つ基本認識にはバラエティー豊かにあり、相手から裏切られない限り協調し続けるというプログラムを利用すれば、相手が裏切らない限り、結託力が高まるメリットです。

アクセルロッドの『つきあい方の科学』という本には、「協調戦略は長い付き合いが想定されるケースで有利ですが、そうでない場合はその限りではない」という示唆があるので注意が必要です。

まとめ

『武器になる哲学』では、哲学者の偉人たちをクローズアップして、現代でも通じる哲学論を砕いて説明しているので参考になります。

『僕は君たちに武器を配りたい』や『ビジネススクールで教えている武器としてのITスキル』といった武器シリーズをまとめて読んでみるのもおすすめですよ。

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